見出し画像

The way of the bull's dick curry.(牛のおちんぽカレーへの道。)

注意。
 この記事は牛の陰茎を調理して食すことについて書かれています。陰茎の俗語表現や類するジョークがポンポン飛び出します。また男性が読むと記事の特定の箇所で己の股間を握りしめて沈痛な表情をするほど心苦しい思いをする可能性があります。以上を念頭に置いて、読むぞ!という人だけ読んでください。


ことの始まり。


 皆さんはある日、目の据わった女性から「動物の陰茎って料理してみたくないですか?」と言われたときどうするだろうか。ふつう大抵は聞き流すとか何とかすると思うのだが人間魔が差すということがある。途中の紆余曲折はだいぶ端折るが、魔が差した結果、我がシェアハウスの冷凍庫に10キロの牛のちんちん(冷凍されたれっきとした中華食材でその名を牛鞭という)が鎮座ましますことになった。

 さて、10キロの内、8キロまではシェアハウス周辺の奇特な人達がご購入してくださったお陰でなんとかなった。しかしながら厳然としてある2kgの牛のちんちん。これを然るべきタイミングで調理したいと思っていた。

 そもそも実は激闘おちんぽカレーというイベントを計画していたのだが計画者(私と件の女性あと1名くらい)がなかなか状況が調わず、結果お流れになっていて牛のちんちんが宙ぶらりんになっていたのである。生きてからも死んでからもブラブラしているのである意味正しいかもしれないが。

 もともと「ちんちんを食そう!!」と意気込んだ場で出されるはずだったのだが場がままならなかった以上、人が来そうなタイミングでやるしかねえ。そういうわけでわがシェアハウス1周年のパーティで牛チンカレーを出すことになった。


 youtubeにちんちんを尋ねる。

 さて食材としての牛のちんこについて考えたい。われわれは牛のちんこを食材として考えたとき、果たしてどれくらいのことを知っているだろうか?ませたチビッコ達なら馬や牛のちんちんがデカく、なんならネタや比喩表現として使われているということくらいは知っているだろう。デッカいちんちんのことを馬並みと言ったりしますね。

 でも、実際の牛や馬のちんこは食材になりますよ…と言われたところでわたしは何も知らなかった。本邦の料理でちんちんを扱ったものを私は見たことがなかったのだ。(ひょっとしたらどこかに伝わっているのかもしれないが寡聞浅学にして知らない。)
 
 どうしよう、おれたちはちんちんに関して無知すぎる…。

 とはいえ我々にはインターネットという文明の利器があり、youtubeにはさまざまな料理を作ってみる動画が上がっている。それこそ世界中からだ。その中に牛のちんちんの下処理だってきっとあるはず…!


牛ちんことの闘い。
 

 牛のちんちん、とか牛鞭、とかbull's cockとか色々調べた結果概ねの下処理の仕方がわかった。やったぜインターネッツ、お前もたまにはやるな。
 
 つまりどうするかというと、冷凍のものは解凍してから、フレッシュはそのまま、まず大きい鍋なりたらいなりで洗う。

洗われる牛のちんちん。

 表面の汚れやヌメリをある程度落とすためだ。ちなみにここで私は塩と料理酒(今回は手近に飲みさしの月桂冠ワンカップがあったのでそれ)で洗った。実は先に友人のぐりほ姉さんという人がちんちんフルコースをやってくれていたのだが、結構臭みが気になるとのことだったのでその対策だ。その後でちんちんの皮を剥ぐ。生の状態で剥ぎにくい場合は、一旦熱湯に潜らせ、冷水で締めてから剥ぐと剥ぎやすかった。皮は綺麗に剥げるものではなく、なかなかしつこさがあるので根気よく剥いでいき、適宜千切り取るなどしてほしい。無理な場合は包丁で切れ目をいれるのもいいが、油分でなかなか刃が通らない場合は両刃カミソリの替刃を洗剤でよく洗ってからつかうのもいい。

 そのあと牛ちんこの断面に太く丸い孔のようなものが見えると思う。それが尿道です。尿道の穴にキッチンバサミ(下村ヴェルダンの全金属製のやつがオススメだ!)を入れてちんちんの管を裂いていく。裂け目ができたら綺麗な水で管の中を綺麗に洗う。そのあとぶつ切りにして下茹でをするのだがここが曲者だった。
 
 普段私は「アクも味のうちやろ」と思ってあんまりアクを取らないのだが下茹で(沸騰させない程度)の段階でものすごいアクが出てきたのだ。灰色がかった薄黄緑色のアクだった。風邪のときの鼻水っぽい色です。あれがめっちゃ出る。さすがにこれはなんかイヤだな、と思ったのでバンバン掬った。

 掬いながらカレーの材料を切ったり炒めたりしていたのだがある変化に気付いた。しばらく掬っているとアクの色がだんだんと白に近くなってきた。多分、最初のアクには洗う工程で落としきれなかった細かい汚れとかそういうものが残っていたのかもしれない。根気よく鍋の水面一杯にアクが張るまでまつ、掬うというのを4回繰り返す頃にはだいぶ匂いもアクの色もマシになっていた。

 ここで下茹でのスープを飲んでみた、ぐりほ姉さん氏による下馬評では「くさいし、ちょっと飲めたもんではなかったです」とのことだったが、うっすいうっすい牛出汁位で不味くもないが美味くもない薄めのスープになっていた。なんか下馬評と違う。しかしこれは嬉しい誤算だ。料理に使おう。一応、ぐりほ姉さんから下処理は大まかに聞くのみだったのでどこかで違う工程を踏んでたまたまうまくいったのかもしれない。

 で、ここから牛のちんこを「カレーの具材」としてうまく調理する必要がある。ここが難しい。というのもぐりほ姉さんによると「茹でてもなかなか柔らかくならないし、圧力鍋で30〜40分シバいたら今度はフニャフニャになった」とのことでカチカチとフニャフニャ、まこと扱いづらいブツということが判明していた。
 
 しばらく考えた結果、玉ねぎ4から5個を大まかにくし切りにして鋳鉄の無水鍋(今回はストウブ)に放り込み、その上に下茹で済みぶつ切りの牛ちんこを放り込んで蒸し焼きのような体裁をとった。

 こうした理由は普通に茹でる、圧力調理ではちょうどいい茹で加減が掴みにくい、というところからヒントをいただき、鋳鉄の無水鍋による高い熱伝導率で牛ちんこをじわじわしばきつつ、時折蓋をあけて蒸し焼き具合を味見することでベストな加熱タイミングを計ることができるだろう、と考えてのことである。
 ちなみに下にくし切りの玉ねぎを敷いたのは焦げの防止と牛出汁と玉ねぎ出汁のスープが取れたら嬉しいという思惑、プラス玉ねぎの酵素的な感じでちんこがやらかくなったらいいな、という願望である。


勝利確定

 結果的にはこれが吉とでた。時折蒸し具合を確認し、また蒸す。そしてちょうどいい加減一歩手前で火を止める。ちんちんのアルデンテを探るのだ。そして鍋をテーブルに移して自然に冷めるのを待つ。余熱で熱を加えるためだ。そうするとあら不思議、ふっくら柔らかく、それでいてややコリっとした食感の「なるほど、これが牛のちんこか…」と頷きたくなるモノが仕上がっている。ここまで来たらもうただの食材だ。

 ここに至るまでにはぐりほ姉さんの牛ちんことの格闘からのヒントがなかったら見るも無惨なことになっていたことは間違いない。ぐりほ姉さん、ありがとう!!

 というわけで牛ちんこの適切な下処理に関しては上記を参考されたい。

 ここからは牛のちんこを料理してみたいという方に向けて牛のちんこカレーのレシピを記す。興味のある方は読んでほしい。

牛のちんこカレー、パキスタン華僑風レシピ。材料(大体6食分)

カレーソース↓
玉ねぎ大8個
トマト大6個(トマトのホール缶3個とかでもいい)
にんにく4かけ(チューブでもいい)
生姜1かけ(チューブでもいい)
SBカレー粉赤缶(ガラムマサラとかでもいい)
八角ホールで6から8個
クローブ1かけ
五香粉(適宜)
唐辛子ホールで5本位(韓国産が望ましい)
ナンプラー
酒(日本酒とか焼酎とかクセがないものがいいかも)

粗挽き黒こしょう
オリーブオイル(クセのなさを活かすなら米油やひまわり油でもいいかも)
牛ちんこの煮汁(300〜500cc)

具材
人参2本
ズッキーニ1本
牛のちんこ(2本位でいい)

作り方
1 牛ちんこを洗う。
 臭み取りを意識して酒とか使うといい。洗い終わったら皮を削ぐ。削ぎにくかったら熱湯にくぐらせ、冷水で急冷して包丁で切れ目を入れて剥いていく。ズル剥けになったら尿道からキッチンばさみをいれて縦に裂け目をいれる。中華風に切れ込みをいれ、花のように開かせる方法もあるが私は採用しなかった。やってみたい人はユーチューブとかで各自深めてください。
 
2 牛ちんこ下茹で。
 その後、牛ちんこをぶつ切りにして下茹でする。コツとしては沸騰寸前のフツフツとした湯温を保って置くこと。こうすると鍋の中の水面いっぱいにアクが出てくるので、アクが白くなって、少なくなるまで茹でる。(アクが鍋いっぱいに張る→すくうを5回から6回繰り返すと良い。)

3 玉ねぎスライス祭り。
下茹でしながらたまねぎ6個をスライス、2個をざっくりしたくし切りにする。くし切りにしたものは鋳鉄の無水鍋(ストウブやル・クルーゼ、アルミ無水などがおすすめである。)にうつして次の工程まで一旦置いておく。スライスしたものは出来ればバットに広げて冷凍する。(10分ぐらいでいい)表面を軽く凍らせることで炒めたときに細胞が破壊され、手早く炒めることができる。

4 スパイスオイルづくり。
 玉ねぎを冷凍している間にスパイス類を油で炒める、いわゆるテンパリングを行う。ホールの八角、クローブ、唐辛子を油に放り込み弱火でゆっくり加熱する。注意する点として、クローブは多いと独特の甘さを持った香りが他のスパイスの良さを覆ってしまうので1かけでオススメしている。唐辛子に関して、私は辛すぎるカレーは美味しいとは思わないので、辛さが程よく旨味を感じられる韓国産をオススメしている。勿論、激辛がいいんだい!というわんぱくな方はごっつ辛いやつを使ってほしい。カレーは自由だ。スパイスオイルが出来上がったら適当な容器に移しておく。

5 カレーの素づくり。
 つづいて冷凍から出した玉ねぎを炒める。玉ねぎは6個分一気に炒めてもいいがご家庭の普通のフライパンで炒めるならば2〜3回に分けるといいだろう。

炒める時のコツであるが、強火でやや放置気味に炒めることである。完璧な飴色玉ねぎはここでは要求されない。ところどころすこし焦げ目のあるぐらいがスパイスと馴染んだ時に美味しく感じるようである。

鍋に油を引き(ケチらないほうがいい)先に弱火で潰したニンニクと刻んだ生姜を加熱する。そこへ玉ねぎを投下して炒める。このときナンプラーも加えて炒める。一瞬臭いが後々いい感じに作用する。

 スライス玉ねぎが炒められ、グチャッとした茶色のかたまりめいてきたらそこに塩をふる。この時の塩と先ほどのナンプラーがほぼ全体の味付けとなるのだが、目安としては一口摘んで「そのまま食べるのがしんどい」くらいの塩加減になっているといい。続いてSB赤缶(1番小さい缶だとして)のカレー粉を3分の1量突っ込む(ガラムマサラとかでもいい)。ヘラとかで塩とカレー粉を馴染ませたら一旦完成。これをミキサーやフープロなどでクラッシュしてなめらかにしておくのもよい。やらなくてもいいが。ちなみにミキサーをかけたものの場合、一個一個が大きめの製氷皿に流し込んで冷凍しておくと自家製のカレーの素として使えて大変便利です。ここで出来上がったカレーの素は寸胴鍋(最終的にカレーとして加熱する大鍋)に移しておく。続いてトマトを炒める。玉ねぎと同じく弱火でにんにくの工程を踏み、少量の塩と粗挽き胡椒をふる。一瞬キッチンがイタリアの香りに包まれるが騙されねえぞ…という顔でトマトをしばく。おまえはカレーになるのだ…という思いを込めるといい。トマトが炒められたらカレーの素が入った寸胴に移しヘラとかでまぜまぜして馴染ませます。

6 カレーの素完成、具材の加熱。
この辺まで来ると牛ちんこの下茹でが終わっていると思われるので、忘れず牛ちんこの下茹で汁を寸胴に加える。後々加熱するのでちょっと多めに、ややシャバいかな?くらいになる量を300〜500ccの間で少しずつ加えながら様子を見る。ここで先ほどのカレーオイルを3分の2量入れて馴染ませておく。ゆで汁を寸胴に投入し終わったら人参を一口大の乱切り(皮はむいても剥かなくてもよい)、ズッキーニを縦に半分に切ってから輪切りに、つまり半月に切る。くし切りの玉ねぎの隙間を埋めるように人参をストウブ鍋に敷き詰める。そこへぶつ切りの牛ちんこ、牛ちんこを覆うようにズッキーニをイン、そこへ少量の水とカレーオイルの残りを入れて弱火で加熱する。

ここからは弱火でまず10分加熱して牛ちんこを1つかじって食感を確かめ、足りないようなら5分ごとに加熱時間を加算し、自分にとってのベストな牛チンポイントを探ってほしい。ちなみに余熱で加熱することを加味して牛チンのアルデンテを目指すと良い。ただ余熱はあくまで余熱なのでこのままでもいい感じだがちょっと硬いかな?くらいがベストだ。加熱がおわったら寸胴、ストウブともに一旦火を止めて、ストウブは蓋をしたまま鍋がほんのり温かく素手で触って大丈夫なところまで冷ます。

7 具材とカレーソースを合わせる。牛ちんこカレーの完成。
 寸胴を再び弱火にかけ、具材をすべて投入して表面がフツフツとするまで煮込み、フツフツしてから具材を1種類ずつかじって全ての火の通りを確かめてこれで良いようであれば最後に五香粉を適宜ふって香りをたたせる。

これにて牛ちんこカレーの完成だ。あといまさらだけどコメは炊き忘れるな!!

8 その他補遺。

 普段なにがしかのレシピを書くときは大体調理機材を限定しないようにしているが、今回ばかりはストウブや片岡アルミ、ル・クルーゼなどの無水調理ができる鍋が必須である。もちろん圧力鍋で牛ちんこを小刻みにシバきつつ、程度をみることもできるが蓋の開けしめの簡便さや、調理のしやすさ、その他火の通り加減の具合として無水系の蓄熱してくれる鍋を必須としています。買って損はないから買っておいてね。

 コメは普通のご飯でも良いがバスマティライスなどの長粒種を使うとまたひとしおである。わざとカレーをシャバくしあげて水分量の少ないタイ系の短粒種とあわせるのも面白いだろう。
 
 牛ちんこをぶつ切りにしたとき、当然さきっちょのいわゆる「亀頭」が出てくると思う。これは当然ながら牛ちんこ1本から1個しか取れない。当たりの部位としてみんなで食べた時に入っていたら「オッ、ツイてるぜ!」とほくそ笑んでほしい。

 そしてここまで書いておきながら肝心の牛ちんこの入手方法であるが、これが本当は一番難しい。そりゃそうだ。そうでなければ珍味とか言われんわな。これに関してはお近くの中国系の人がやっている中華食材屋さんとかに行って「牛鞭」と書いたメモを見せつつどうやったら手に入るか交渉してみてほしい。

牛ちんこの亀頭。牛なのに亀とはこれいかに。


 
 このレシピはカレー作りの多くの部分を借金玉さん考案の「ニセパキスタン人カレー」によった。スパイスはガラムマサラなどのいわゆる「カレー」を感じさせるものに、駄菓子っぽい甘さの印象をクローブ、八角と五香粉で中華風の香りを忍ばせることで食べた時にチャイナ服と辮髪の怪しい男のシルエットがよぎる胡散臭さを感じていただければ幸いである。

9 イベント提供時の謝罪と反省点、感想。
 じつは今回のレシピは我がシェアハウスの1周年記念イベントの際に実験的に作りながら、その後の気づきを加えた完成版である。つまり1周年記念イベント時点では具材の柔らかさがベストではなかったり、細かいところで詰めの甘さが露呈していたりした。食べてくれた皆さんにはお褒めをいただいたが作った本人としては申し訳無さがあった。ここに陳謝する。
 また、削いだ牛ちんこの皮部分に関してだがこれは今ひとつ適切な使い方を思いつけず当日は廃棄にしてしまった。食材に対する申し訳無さもありその後ツラツラ考えたのだが高温の油で揚げることで牛ちんこの皮チップスとして食べられるのではないか?という可能性を見いだした。メキシコ料理にはチチャロンという豚の皮を揚げたチップスがあり、おつまみとして愛されている。あれからヒントを得た。誰か試してほしい。
 私自身の感想としては、初めて調理するいわゆる「珍味」「珍食材」であり、なかなかできる経験ではなく、非常に得難い機会を得たことに感謝の念が絶えない。私をそそのかしてくれたH氏、調理に多大なヒントを与えてくれたぐりほ姉さん氏にこの場を借りてお礼申し上げたい。本当にありがとうございました。今度なんか奢らせてください。

 以上をもって牛ちんこカレーの記事を終わります。ありがとうございました!
 


 

 


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?