白夜
明るい世界を望んでいたはずなのに。
光ある場所に憧れていたはずなのに。
こんなにも夜が恋しくなるなんて。
こんなにも闇に落ちたくなるなんて。
眩しい世界に独りぼっち。
沈まぬ太陽に、心まで焼き尽くされそうだ。
あぁ
もう眠りたい。
あぁ
もう休みたい。
白む地平線を見つめ、ホロリと零れる涙が、せめての癒し。
氷のように冷たい大地に身を投げ、火照った体を冷ましたい。
転がり、見上げた空に星を眺めることができたなら、また私が私であることを思い出すことができるかもしれない。
あぁ
喉が乾いた。
ふと、目を開けると、天井には白い輝きを放つ人工の光があった。
電気を消し忘れて、寝てしまったんだな。
室内の気温も上昇していて、首筋はべっとりと汗に覆われていた。
立ち上がり、窓を開ける。
涼しい風とともに夜の匂いが、空間を包んでいく。
電気を消し、暗闇のなかへ。
静寂に抱かれて、私は夜に落ちていく。
優しい闇に包まれ、落ちていく。
あぁ
心地がいい。