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めくるめく古の鏡筒たち その4:Super Takumar 50mm f1.4 前期vs後期vsSMC

――俺は運命と多々買う!そして買ってみせる!(機材を)


はじめに

 皆様は、Super-Takumar 50mm f1.4というレンズをご存じでしょうか。

 そもそもこれは今から半世紀以上前、1964年発売のAsahi Pentax SP用に作られた標準レンズという位置づけであったそうです。また、当時の競合他社としてもこのf1.4という明るさのレンズは、技術的になかなか手が出しづらいとのことでした。

 どうしてもその当時主流だったレンジファインダー(距離計連動レンズ交換式カメラ)と比較して、ミラーボックスがあるためフランジバック(マウント面とフィルム面の長さ)を長くせざるを得ない構造のため、焦点距離が長くないといけなかったらしいです。

 言われてみれば、当時は55/1.8が標準レンズという位置づけだったことを踏まえれば、旭光学(現:リコーペンタックス)は非常に革新的な技術でもって市場を席巻した、ということがうかがえるのではないでしょうか。

 長々と書きましたが、このレンズは今ではいわゆるちょっと良さげなオールドレンズの入門用として若い世代にも人気を博していることは周知の事実です。

 それで、実はこのモデル、前期の8枚玉後期の7枚玉が存在します。そして、製造番号および期間に鑑みれば、8枚玉の方が流通量が少ないということらしいんですよね。

そして考えたわけです…何が違うのか?

 旭光学、もといPENTAXが好きな筆者としては、是非一度踏み込むべきぬm…いや、話題であると常々考えていました。

 そこで、以前ふとしたきっかけでゴースト描写にハマった筆者は流れで8枚玉を手に入れまして。

 過去所属していたサークルでその旨共有したところ、では8枚玉と7枚玉とSMC、描写にどれだけ差異があるのかということを確認しようじゃないか、という流れになりました。

沼人の発想は底が見えない。

 今回は非常に、なんというか実用的な回。従来のコラムのような、単なる使用感の情報だけに留まらず、掲題の通り、同一レンズでも本当に写りが違うのか?という素朴な疑問に決着をつけるべく行った記録をしてきたので紹介したいと思います。

機材紹介


ぱっと見そんなに大きい変化はないが…
左からSMC、後期、前期の順

 先に断っておくと、このモデルは全部で第7バージョン(除SMC)存在するらしいです。

 なお、ここではあえてそれぞれの描写や外観の違いの比較はしないつもりです。それはもうなんというか、カネがいくらあっても足りないので…。

 という本音はもとより、要点としては、①レンズ構成、②使用レンズの材質の違い、③SMCの有無、3つの差異がどの程度出るのか、というのを比較するのが今回の趣旨であるためだからです。

これを読む諸兄諸姉の中で、「オイオイオイ、比較(くら)べ足ンねーわ」という方がいらっしゃれば、是非全7バージョンの比較をしてみてほしい。

なお、同じバージョンの中でもさらに微妙な差異があるらしいから、もう宝くじ当たった人がやってもらったほうがいいのかもしれないが…。

スペック

前期

 ぱっと見の俯瞰画像ではわからないですが、少なくとも、このレンズは後述するアトムレンズによる経年黄変はないように見受けられます。

 この比較前に数回使用したのですが、基本的にはクリア、というか寒色系に写るンだよなぁ…という印象。一応画像では、8枚玉であることを示す製造番号の頭3桁を表示しております。

 尤も、購入前に、よく考えればこの銘板だけ変えれば前期型として売ることも可能だよな…ということも考えたが、そもそもそこまでして金儲けしたいやつもおるまい、という性善説に立ち、今回撮影に臨みました。

後期

 これは、50/1.4の中でも、レンズに放射性物質が使われているモデル。もちろん人体に影響はございません。また最大の特徴として、レンズの経年変化による黄変が非常に有名。

この後の作例でも、ネタバレになりますけれどものすごく変化が顕著。

SMC

 これは、M42マウント時代の50/1.4における最新版のモデル。上記の通り、レンズ構成としては7枚。SMCが使われているとのことで、レンズ表面が若干青い、というか紫っぽいのが特徴です。ただしこれもトリウムレンズが使われているので、やっぱり黄変しているようですね。

シチュエーション別作例

順番としては

  1. ボケ具合の確認をするための花撮り

  2. 黄変具合の変化を見るため中距離での樹木撮影

  3. 光源が強いイルミネーション

  4. しっかり絞った風景撮影

の4パターン。本当は逆光もやりたかったけど、時間的に太陽が沈んでしまったので、また別の機会に…。

以下、掲載順序は、前期→後期→SMCの順。
撮影時、三脚を用いて定点撮影。
ピントはすべて同じところに合わせ、比較。

 さらに、今回使用したカメラはPENTAX K-1 MarkⅡ。今回はPENTAXなのだから同じPENTAXのフラグシップで比較してみたい…という筆者の強い想いが表れていたら幸いです。

花撮り(日陰位置。開放、WBは「曇天」)

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