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59歳でこの世を去った義母を思い出した話

よく晴れた、冬の日の昼さがり。
私は美術館へとつながる公園の中を歩いていました。
5メートルほど前を、
3歳くらいの男の子と、おばあちゃんらしき女性が歩いていました。

「こんな光景を、夢みていたのかな。」

元夫の母(義母:正確には元義母)は、
孫(私たちの子供)を待ち望んでいました。

義母は孫の顔を見ることなく、59歳で亡くなりました。


子どもはまだか


私は、25歳で結婚し、10年の結婚生活ののちに離婚しました。

娘が生まれたのは、私が32歳の時でした。
それまで、元夫の「借金癖」に苦しみ、
とても子供が持てる状況ではありませんでした。

娘が生まれたのは、元夫の借金癖は完全に治ったと、
信じたせいでした。

結果、離婚に到りましたが、
ひと時だまされて娘が生まれたことは、
今となっては「結果オーライ」です。

娘が生まれるまでの間、
義両親からは「子どもはまだか」とよく言われました。

今ならアウトですよね。

義両親に、元夫の借金癖については、
しばらくは言っていなかったので、
単純に孫を待ち望んでいたのでした。

とくに、義母はとても優しい良い人で、
孫についても、決して嫌な言い方ではありませんでした。
義父の「酒乱モラハラDV」に耐えていたので、
「楽しみ」とか「生きがい」が欲しかったのだと思います。

そんな義母は、56歳で脳腫瘍になり、
59歳でこの世を去りました。
娘が生まれたのは、その数か月後でした。
義母は、待ち望んだ孫の顔を、
見ることはありませんでした。


唯一の希望


いま、義母の年齢を辿ってみると、
私が結婚した25歳のとき、
義母はまだ51歳だったということになります。

義母は、何のために、
義父の「酒乱モラハラDV」に耐えていたのでしょう。
なぜ「あんな義父」と離婚しなかったのでしょう。
義母は会社員で、義父は名ばかりの自営業。
「経済的理由」ではなかったと思います。

義父に監視され、何一つ自由に行動できなかった義母。
買い物一つ自由に行けず、趣味のひとつもありませんでした。

「家族」という閉鎖空間に囚われていた義母。

まだ50代前半だったにもかかわらず、
息子夫婦である私たちと、まだ見ぬ「孫」が、
唯一の希望だったと思います。


もし長生きしていたら


もし、義母が今も生きていたら、
どんな気持ちで日々を過ごしていたでしょう。

酒しか楽しみのない義父に「支配され続ける」関係性が、
変わることはあったのでしょうか。

義父はとても長生き家系でしたから、
義父も長生きしただろうと思います。
(今現在どうしているかはわかりません)
あんな人間が長生きしたら、さぞかし周りは大変でしょうね。

それともあんな人間でも、「変わる」ことがあるのでしょうか。

人生100年。
少なめに見ても、みんな90歳くらいまで生きる時代です。
あんな義父と、あれからさらに30年もともに生きるのもまた、
大変だったのではないでしょうか。


ご褒美がもらえると思っていた


私は50代を目前にひかえ、中年クライシスに陥りました。
50代は、人生の結果が見える歳です。
仕事も子育てもこんなに頑張ってきたのに、
「こんなものか」
と絶望感に苛まれました。

「人生の結果=頑張ったご褒美」がもらえると思っていました。

思ったような仕事をしていること。
ひとり頑張って育てた娘が優秀だったり、
私の料理を喜んでくれたりすること。

私の「期待」に、応えてくれることでした。

実際は、仕事は思ったようにいかず、
娘は勉強嫌いで、
私が作った料理はあまり食べず、
外食ではこれでもかと食べました。


「人に期待」しない自分になるために


義母が、義父の「酒乱モラハラDV」に耐え、
守ったものが「家族」で、
「孫」はそのご褒美だったのかもしれません。

しかし義母に誰も、
自分を犠牲にしてまで家族を守ってほしいなんて、
望んでいません
でした。

私の娘も、私が娘にそんなに一生懸命になることを、
望んでいません
でした。

勘違いしてはいけない。

誰のために頑張ったのでもなければ、誰かに期待するのも違う。
私が「期待」していたのは、私の「空虚感を埋めてもらう」ことでした。
気づくまでに、長い長い時間が掛かりました。

「人生の結果が見えた」と思っていたことも、間違いでした。

あと30年、人生は「もう1ステージ」あります。
30年もあれば、全く新しい人生を生きられます。

いえ、明日死ぬかもしれません。
それならなおさら、急がなければいけません。

あなたの人生は、どうですか?

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