伊豆大島でレモン農園を始めた理由
「伊豆大島でレモン農家になる」
19年間教師をしてきた私が言い出した時の家族の反応は、おそらく皆さんの想像通り。
「はあ?何いってるの?」
「これから一番お金がかかるんだよ」
「管理職になる夢がもうすぐ叶うんだよ」
これから高校生の娘と中学生の息子の教育費がかかること。
ずっと目指していた副校長試験に受かって4月から昇任が決まっていること。
レモン農家になったところで収入が安定する保証はないどころか、
収穫が安定するのは少なくとも5年後以降だということ。
伊豆大島で畑を手に入れる目処など全く立っていないこと…。
退職の意向を家族に伝える半年前に考えていたことは、
「公立小学校で19年勤めてきて、今、伊豆大島の小学校で主幹教諭をしているが、私は一体何のために働いているのか。そして、これからの人生で何を成し遂げたいのか」ということ。
簡単に言うと「私自身の人生のマニフェストは何か」ということ。
まずはそれを掘り下げて言語化してみることにした。
余計な言葉を削ぎ落として結局最後に残ったのは、
「公教育にイノベーションを」
「伊豆大島から教育改革の狼煙をあげる」
「教育のパラダイムシフトを」
という自分自身の人生のミッションだった。
次に考えたのは、そのミッションを実現するために自分の強みをどう活かしていくかということ。今の立場のままでそのミッションに立ち向かうのが最善なのかということ。
そこで、自分の「強み」や「願い」を言語化してみた。
「自分が教育現場でイノベーションを起こしてきた実践者だということ」
「変革を望む若い教育者の成長に関わることに喜びを感じること」
「伊豆大島が大好きで、伊豆大島からから変革を起こしていきたいこと」
「地元に根を張って地元の一員として1次産業(ゆくゆくは6次産業)に従事したいということ」
「公教育の灯台となる理想の学校をつくりたいこと」
次に考えたのは、そのミッションを遂行していく上での具体的な職業をどうするかということ。
「伊豆大島でレモン農家になること」
「日本初のイエナプランスクールである大日向小学校に関わること」
めっちゃざっくり言うと、この両方をやるということ。
つまり、教育者と農家の兼業。兼業農家。
何とか収入面での目処もつき、
半年後に家族は「応援するよ」と。
感謝しかない。
12月に退職願を出し、
2月には伊豆大島に1000坪の畑を取得。
荒れに荒れていた未開の地を1ヶ月間かけて開墾し、
(家族もちょっとだけ手伝ってくれた笑)
3月には約50本のレモンを植え付け、
3月31日付で退職。
2020年4月、コロナ禍の中で私の第二の人生が始まった。
つづく…