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ショートショート・エッセイ「あのこの脳内は」

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日記と自由律俳句以外の創作をきまぐれにのせていきます
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ショート・ショート 「クリスマス症候群」

ショート・ショート 「クリスマス症候群」

ショート・ショート 「クリスマス症候群」

年末なんて言うのなら、映画や本みたいに、世界も終わってしまえばいい。クリスマス症候群、浮かれて化粧の濃くなるように街は煌びやかさを増し、壁一枚で遮られているだけなのに遠く遠くの物語みたいで、マジックミラー越しに眺めているような気持ちになる。

クリスマスらしい音楽を選びスピーカーから流しても、私の選ぶ音楽はなんだか暗い、浮かれ模様のヒットソングを選ぼうと

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きいろ

きいろ

喫茶店のコーラ、薄切りの檸檬は黄色
ふわふわのひよこのぬいぐるみもきいろ
わらったときのかお!きいろ
玉子焼き・コーンスープ やさしいきいろ
ターメリックライスはレモンイエロー
焼き芋は黄色すぎて笑っちゃうね

夜の部屋の灯りは黄色
ちょっと寒い時に羽織るころも 黄色
文庫本の紙 きいろ
好きな曲 きいろ
きいろ つたえたいことば きいろ

もやもやしたこころは変な色だね
伝えたい気持ちは全てきい

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ショート・ショート「桜」

ショート・ショート「桜」



ずっと眠っています。眠ったふりをしています。あっ。ひかった、パチっと何かが光りました。瞼の内側が眩しい。暗いけど、なんだか外は眩しい、というやつなのかもしれない。

多分今は夜です。わたしはずっと眠っています。眠っているけどわかります。朝になると瞼が少しずつピンクになって、白くなって、白い時間がずーと続いたあとに、だんだんオレンジ色というやつになって、紫が来て、また、暗くなります。眠っていま

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「ここちゃん」#4(終)

「ここちゃん」#4(終)

#4 「ここちゃんもういない」

僕の部屋にパンジーみたいな青色のソファが来た日、ここちゃんは不思議な形の目をキョロキョロさせながら、異物を飲み込んでしまった時みたいなバツの悪い顔をしていた。荷解きを済ませてテーブル前に置いた青いソファはやっぱり少し派手だけれど、ここちゃんが並ぶとその色調は丁度良く思えた。でも何故か、ここちゃんの表情はすこしも変わらなかった。

「ここちゃん専用のソファが出来たよ」

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「ここちゃん」#3

「ここちゃん」#3

#3 「ソファを買って、ここをわたしの住処にするから」

ここちゃんは高いところと床が異様に好きだ。初めて家についてきた日、クッションの幾つか敷かれたテーブルへ案内しようとすると、キッチンとリビングのちょうど真ん中らへんで、ぺたんと座り込んでしまった。まるで陣地を確保した獣のように。それからは、そこが定位置になっている。ここちゃんが居ない時も、ここちゃんがいつも座るところだけほの暖かいような気がして

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「ここちゃん」#2

「ここちゃん」#2

#2 「おいしくないから置いとくね」

ここちゃんは本当によくわからないし、気難しい。僕の家の本棚を片っ端から引っ張り出しては、ちぐはぐに場所を変えたりする。いつも使っているマグカップのひとつが急に消えて、どこを探しても見つからず、次の朝ベランダに出たら植木鉢になっていた事もあった。そこには小さな青いパンジーが植えられていた。こんなの、ここちゃんしかやらないよ。それと、「あったかいぎゅうにゅう」が好

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「ここちゃん」#1

「ここちゃん」#1

#1 「ここちゃん」

ここちゃんはよくわからないし、気難しい。

名前をこころと名乗る彼女は、近所の行きつけの喫茶にいつも居て、気がつくと僕の傍らに居た。

「血液型は」
「しらない」
「何座ですか」
「蟹座か乙女座」
「蟹座と乙女座はとっても離れているけど」
「そうだね」
「じゃあ好きな食べ物は」
「あったかいぎゅうにゅう」

ここちゃんとのはじめての会話はこれだけだった。窓際の席でプリンをほじ

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映画「劇場」をみた東京一人暮らし19歳の感想文

映画「劇場」をみた東京一人暮らし19歳の感想文

狭くて古い東京のアパートで ひとりぼっちの彼女は、何ができるだろう

映画「劇場」を映画館で見てきた 渋谷のユーロスペースの一番遅い上映で、友人のすずめ園ちゃんと一緒に見た。原作は未読、あらすじもよく調べないままだった。
結果的に、この映画はわたしにとってすごくすごく大きな波となってぶつかり今もずーっと考えている。本当にいい映画だった。

わたしが映画を見る理由に、「いろいろな感情を知りたい」とい

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ポケットにところてん

ポケットにところてん

自分を愛してみる方法を最近はずっと探している。

じぶんにやさしくするというのはすごく難しい、一年前東京に出てきたわたしは18歳で、まだ18歳なんだねと言う大人にずっと腹が立っていた。わたしは18歳だけど毎日メラメラして生きているのに馬鹿にしないでと思っていた。まるい気持ちなんてどこにもなくて、ご飯はただの延命措置だと思ってたからコンビニ弁当でよかった。ささくれはいつか消えるし、いっそ何も食べなく

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「お茶碗」

「お茶碗」

わたしの家にはお茶碗が一つしかない。だが、わたしは今、しらない男一人と、ひとりで暮らしている。

28歳。定職につかずアルバイトをしている。中小企業に就職しOLをしていたこともあったが、数年前になんとなく辞めた。今は、大味で有名なガード下の大衆食堂とレコード屋の掛け持ちで何とか暮らしている。住んでいるのは、世田谷区家賃3万4千円築40年ワンルームユニットバス駅から徒歩20分。そこそこ最悪だけど、で

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「かよちゃんの家出」

「かよちゃんの家出」

かよちゃんが、家出したらしい。

置き手紙に書いてあったのは、晩ご飯の餃子をパパに多く食べられちゃったことと、今履いてるスニーカーで登校するのが嫌だったから。だって。パパきらい、新しいスニーカーを買いに行くから探さないでください、って、なんだそれ。もう16歳なのに、どんな理由で家出してんのよ アホか

確かに、今日のかよちゃんは変だった。夜、かよちゃんの好きなジャニーズがテレビに出てたのに、連

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