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平大典「【対東京《バーサス・トーキョー》】Versus Tokyo」(7)
Ⅶ
あっという間に、追悼の夜が来た。
祭りの開催会場は大田区だった。派手に殺し合うには十分な広さがある。
神たる東京の最南端。蒲田工業地帯、人工島である平和島や昭和島。地図上でひときわ目立つのは、かつての日本国際空港、つまり羽田空港だ。じつに区面積の三分の一を占めていて、滑走路には生体天蓋を支える高さ二〇〇〇メートルの郊外縁補柱、通称【水色霊樹】が建立している。
俺たちは、他都市との貿易における結節点となっている品川門で合流すると、電車に乗り込み、南方へ向かった。
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