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星が降って来たからさばいてみた。

先に言っておくと昨日はなんとか流星群だったらしい。
2日前に干した洗濯物を取り込もうと思い立った時にはもう夕暮れだった。排水溝が詰まりに詰まって雨水が流れなくなったツバル国みたいなベランダに大きな金平糖が落ちていた。というよりも多分これは星だった。
多分というのはこんな至近距離で星を見たことがなかったから断言が出来ないのだ。私は洗濯物をそっちのけでその星を持ち上げた。色は白というより透明に近く、内側が不規則にぼんやりとした黄色い光を放っていた。重さは11ポンドのボウリング玉くらいだった。
どうして星が私のベランダに落ちていたかは正直どうでも良かった。これを科学者とかに見せつけてやろうとも思わなかった。
そうだ、インテリアにしよう。棚の上の本の横に置こう。ちょうどいい。そう思っていたが、物体は未知の存在に近く、この部屋に置いておくことによってどんな弊害が起きるか分からない。そう考えると急に怖くなった。不規則に光るこれを持っているだけでも怖くなった私は、あたふたと部屋の中を歩き回り、最終的にまな板の上にそれを置いた。ごとっ、そう鈍い音がした。
切れるか分からないけど、包丁を手にした。そして星に一度、包丁を立てたらギコギコはせずともスーっと刃が降りていってくれた。驚いた。私は夢中で星を一口サイズに切った。ストン、ストンストン。気づいたらまな板の横には、透明なゼリーのようなものが積み上げられていた。
硬いと思っていたものが刃を当てた瞬間、実は柔らかかったという現象。あれを私は“清楚系ビッチ現象”と呼んでいるのだが、今回ばかりは宇宙から飛来したものなので多少の概念外からのジャブは私には効かない。この星が喋りだしたって受け入れられる自信がある。
とりあえず私はその星々を小皿に盛り付け、醤油をかけた。結局刺身が1番美味しいのだ。あまり醤油がかかっていない部分を箸でつまみ上げ、口に運んだ。噛むとそれは口の中で弾け、綿菓子のように消えた。しかし甘く、壮大な余韻は確かに残していった。そしてポッピングシャワーのように弾けたりもした。似た味、食感として地球上の既存の食材名をあげたいのだが、ピンとくるものがないので省略します。言うならばそれは確かに星だった。あなたが想像している星の味で多分合ってる。
残った星はタッパーに詰めて冷蔵庫で保存してある。だいたい週1のペースでいい事があった日や辛かった日に食べるようにしている。色々なレシピを試したから知りたかったらTwitterのDMで教えるよ。

なんであの日私の下に星が降ってきたのかは分からない。星を食べたからって何かが変わる訳でもない。クソ上司の対応が優しくなることなんてないし、夜中3時の隣のカップルの喘ぎ声が止むことなんてない。
ただ、しいて言うなら今まで夜中眺めていた星や月が少し近くなったように感じた。もう少しだけ生きてみようって思った。

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