青猫

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404.not found 僕に残るのはいつも電子レターだけで

なんか歩きたいなと思った時は家から20分くらいのファミリーマートに行く。その途中にある小さな病院の大きな駐車場が僕の秘密基地。人をほとんど乗せていない終電を横目にそこで寝転がってインターネットをするのが好き。田舎だからか星座表を夜空に広げたような景色が頭上に横たわっている。神聖かまってちゃんの「バイ菌1号」を聴きながら、今日してしまったダメなことと良かったことを思い返す。今日も起きれなかったなとか、あの時の一言間違えてたかもな、嫌な気持ちにさせてしまったかもなって。 駐車場に

    • the light of words(50)

      ・“愛”ゆえに ・犬も強い光の前では目を細める ・雨季  移ろい ・駅前のポストは手紙が旅立っていくより、そこにいつまでもいてくれる感覚  安心感 ・落ち葉を見なかった、前を向いてたから ・海岸沿いを走る、野太い JUDY AND MARY ・希死念慮  煌めき ・Saxe Blue (くすんだ青) ・経験が全てではない、それをどう生かすか ・こんな日常がだらっと続けばいいと願う心 ・彩度、さよなら ・しあわせ  ・少しだけ自分に優しく 少しだけ強く ・咳 ・喪失、卒業、

      • タイトル@世界.com

        本格的に夏が到来。駆け足で日本を熱波で包んでいきましたね。水面下で南海トラフの噂も流れ、まるで世界の終わりが夏の終わりと同時に来るのかとも思われ、永遠がそうではなくなる可能性も秘めた特異な夏ですね、今年は。台風10号「サンサン」も予想出来ない動きばかりで。 はじめまして、色々なところで色々な名前を名乗りすぎてこういう初場所で何と名乗ればいいか迷います。 普段は映画を撮ったり写真を撮ったり、小説を書いたり銭湯でバイトしたりしているのですが、そんな日常を記した日記を始めようと思

        • 8.32*光へ

          これは誰かの話で、僕たちの話。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 僕がカラーコーンを蹴っ飛ばそうと試みると、スリッパが放物線を描いて明後日に飛んだ。その赤い三角標を僕の足はすり抜け、挙句の果てに履いていた一回りも二回りも大きなスリッパは陽炎に溺れた。それを見てか、蝉は前よりも強く鳴き始める。呼応するかのように僕を囲う乱立した物体にしがみついて鳴く蝉はまるでシューゲイザーのようだ。 夏。 昼下がりの冷房の聞いた部屋で、3DSのニコニコ動画から流れる『フロントメモリー』と母が残してくれたチュ

        マガジン

        • 不定期連載エッセイ「タイトル@世界.com」
          1本

        記事

          2023.12.29

          坂本龍一の曲名みたいなタイトルですがそんなに価値あるものではなく、どこにでも居るような人間の経過報告であることを冒頭で謝らせてください。 これを言うことによって以下の自分語りが許されると祖母に教えてもらった気がする。 小説が書けなくなって、久しぶりに文章を書くので、読みにくかったらすみません。 全部を捨てて、死んでもしまっても良かった。 新品のタオルケットに包まれたら泣いてしまうくらいに自分は弱かった。自分を守る外装は上半期で契約を辞めた。そうすれば、砂糖菓子よりも脆い内

          あの時、赤信号を渡れなかったきみへ

          父親が生前遺した唯一の図書カードで彼女への誕生日プレゼントとして本を買うために隣町の本屋に向かっていた時のことだ。原付で小さな交差点の赤信号に止まった時にふと、彼のことを思い出した。泣きながらも、漠然とした未来に走って、赤信号を越えれなかった君のこと。 たとえば緩い幸せがだらっと続いたとする、の緩い幸せの部分を感じることが出来ている日常を送っている私は初めて彼に共感することが出来た。 私は最近、人生のこれでいいという基準が出来てしまった。これでいいというには最低基準の幸せの

          あの時、赤信号を渡れなかったきみへ

          星が降って来たからさばいてみた。

          先に言っておくと昨日はなんとか流星群だったらしい。 2日前に干した洗濯物を取り込もうと思い立った時にはもう夕暮れだった。排水溝が詰まりに詰まって雨水が流れなくなったツバル国みたいなベランダに大きな金平糖が落ちていた。というよりも多分これは星だった。 多分というのはこんな至近距離で星を見たことがなかったから断言が出来ないのだ。私は洗濯物をそっちのけでその星を持ち上げた。色は白というより透明に近く、内側が不規則にぼんやりとした黄色い光を放っていた。重さは11ポンドのボウリング玉く

          星が降って来たからさばいてみた。

          【短編小説】「靉靆」

           都会の夜はどこか寂しく思える。  青白い空も、いつまでも一人点滅している看板も、遠くで揺らいでいる電波塔も。全部自分のもののようにも思え、また世界の果てのようにも感じる。白い息の行方を目で辿ると、薄明の空が僕の頭上に横たわっていた。――みんなの知らない夜の姿、それを見るために僕は人より早く目を覚ます。 「おはよう、じいちゃん」 「えっと、お前は……たかし?」 「そう、だね」  僕は目の前から歩いて来た、海老の如く腰の曲がった老人に声掛けた。朝靄が街を包み込んでいて、視界はフ

          【短編小説】「靉靆」

          【短編小説】「沙羅と夏」

           一/ 「妹よ、やはりお前は疎ましい」  妹宛の郵便物を覗き見た玄関先で、私は思わず呟いた。――お姉ちゃん、お姉ちゃんと、耳鳴りのような蝉の声までもが妹のもののように聴こえ、私は身震いをする。しんみりとした長い廊下が、ただ呆然と立ち尽くす私をじっと見つめていて、無情なまでに冷たく苦しい夏の気配が流れる汗となり、私の首筋を静かにたらりと垂れた。  里美こと私の妹は、一ヶ月前にこの世を去った。自死であった。  遺書などは探しても見付からず、何を考え、何を思い、その選択に至った

          【短編小説】「沙羅と夏」

          【短編小説】「夜行衝動」

             ふと、視線を感じた。  生物的本能である。  それが誰から何処から向けられているものかは分からなかった。  私は、会社の帰りに古本屋に寄った。ほんの気まぐれだ。  残業終わりの夜の匂いがそうさせたのか、私は気付けばここに立ち寄っていた。本の背を眺めながら店内を歩いていると、一冊の本の前で止まった。  ――少女地獄、夢野久作著。  私はその本を読んだことが無かった。しかし覚えている。――まだ愛を知らない、しがない大学生の私が経験したおそらく初めての恋といえる話である。

          【短編小説】「夜行衝動」

          【短編小説】「誰そ彼」

           或る秋の夕暮。  私は缶コーヒーを片手に延々と続くかと思われる階段を静かに降りていた。昨日の天気は雨であった、故にコンクリートは湿り、駅のホームには悶々とした空気が漂っている。明るい地上から地下鉄のプラットフォームへと降りて行く様子は地獄へと堕落していくように感じ高揚感というか、不吉感というか、得体の知れない感情が震える。さもありなん、私は既に堕落した人間なのだ。純情と気遣いは五年前の箱根で、愛と希望は一昨年の伊豆で棄てたのだ。――そうして先程、人生と未来を手放して来た。

          【短編小説】「誰そ彼」