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妖に染まりませんか? お題:ひと夏の人間離れ

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8月末だから、ちょっと不思議な話を1つ。






これは私が帰省した時の話だ。



この日は山の神社でお祭りがあった。
人里から離れた、神秘的な雰囲気のある神社だ。





この山は不思議な体験をする人が多いと有名だから、恐怖と好奇心が入り混じった感情でスキップを踏むように向かっていたんだと思う。

祭囃子が大きくなっていくにつれ、ふと違和感を覚えた。



神社から出てくるお祭りの行列。
お神輿にしては何も担いでいない。




篠笛の音は相変わらず聞こえてくるが、行列を先導しているようにも思える。






これは百鬼夜行か?


時すでに遅し。もう取り殺される瞬間だった。



「大丈夫?」


寸前のところで声をかけられた。
振り返れば金髪の美女。
プラチナブロンドの長髪が夏の風になびく。


「大丈夫です」
「ならよかった」


笛の音が脳裏に響く。




「お前は才能がある。俺らの仲間になってくれると嬉しいんだけど」

「仲間……ですか?」


私は非情に混乱しており、目の前の金髪麗人が男性であることも訊けなかった。



「今すぐじゃなくて大丈夫。また会える」





気付くと私は鳥居の前で倒れていた。


ふと、アンクレットが跡形もなくなっていた。
黒い痣が代わりにできていた。





後日聞いた話だが、百鬼夜行による変死はあの辺りではよくあることらしい。

戻ってくることができたのは妖怪化しうる存在なのだという。







将来、私は妖怪にされているかもしれない。


そして。魔除けのアンクレットは、実は妖怪が仲間を探すためのものだったのかもしれない。


あとがき

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月ノ宮闇
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