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「自分を操る超集中力」まとめ

この記事では、メンタリストDaiGoさん著の「自分を操る超集中力」を読んだまとめを記します

メンタルモデル

集中力は最短・最速で身に付くスキルであり、トレーニングによって強化することができます。
人は集中力を発揮するとき、脳の前頭葉を使います。しかし、自動化・習慣化すると同じ作業を小脳が代わりに担ってくれます。そのため、前頭葉を疲れさせる度合いが減り、集中力を発揮できる時間を伸ばすことができます。
本書では一つのことにフォーカスして習慣化することで、自動的に集中できるようになることを目標としています。

ゴール

本書を通じて脳の疲れを極限まで抑え、余った集中力を使ってより多くのスキルを習得できるようになりましょう!!

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結論

先に結論を書くと、集中力の鍛え方は
①ウィルパワーを増やす
②ウィルパワーを節約する
ことです。これより具体的な説明が始まります。結論を念頭に読んでみてください。

第一章 集中力を自在に操る3つのルール

集中力には三つのルールがあります。

①集中力の高い人は、鍛え方を知っている
(集中力は生まれつきや根性では決まらない。)

②集中力の高い人は、実は長時間集中していない
(できる人は、短時間の集中を繰り返している。)

③集中力の高い人は、疲れを脳でコントロールしている
(疲れているから集中できないは脳の錯覚)

です。それぞれ具体的に説明していきます。

①集中力の高い人は鍛え方を知っている

集中力は、生まれつきや根性では決まりません。そのため、集中できない自分を「人より劣っている」「怠け者なのではないか」など不安になる必要はありません。
集中力の差は、その仕組みを知り、トレーニングを積んでいるかどうかの違いだけです。
正しい理論を身につけ、トレーニングすることで、誰でも集中力をコントロールすることができるようになります。

集中力を身につけるために知っておかなければならないことが一つあります。それは、集中力の源についてです。
集中力の源は、前頭葉の中にある思考や感情をコントロールする力、ウィルパワーです。
ウィルパワーはロールプレイングゲームのキャラクターの体力や魔力に似ています。敵の攻撃を受けると体力が減り、魔法を使うと魔力が減るように、ウィルパワーにも一定の量があり、集中力を使うたびに少しずつ消耗していきます。
ちなみに、薬草を使えば体力が回復したり、睡眠によって魔力が戻るように、ウィルパワーも睡眠や食事で補給することができます。
 
ウィルパワーには二つの特徴があります。
①ウィルパワーの総量には限りがあり、集中力を使うことによって消耗していく。
②ウィルパワーの出どころはひとつしかない。
です。
特に重要なのは二つ目です。私たちはダイエット、仕事、スポーツなどといった行動をそれぞれ切り離して考えています。例えば、仕事が行き詰まっていることとダイエットを続けられるかどうかは関係ない、家族との関係がギクシャクしていても、オフィスに行けば気持ちが切り替えられるなどです。
こうした考えの根本には、それぞれ使うウィルパワーは別だという思い込みがあります。

しかし、実はそうではありません。全く関係ないはずの行動でも、使われるウィルパワーの出どころは同じなのです。
つまり、「仕事が行き詰まっているからダイエットが続かない」「家族とギクシャクしていて仕事に集中できない」というのは自然なことなのです。
ウィルパワーが消費されてしまい、脳が休息を必要とする状態になっているのです。

集中力を鍛える二つのアプローチ

ウィルパワーの鍛え方は二つあります。
①トレーニングによってウィルパワーの総量を増やす
②日々の行動や習慣を変えることによって、消費量を節約する
これが最も効率的な集中力の鍛え方となります。

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①の鍛え方例→姿勢を正す。
日頃無意識におこなっている行為を「やらないようにすること」は強い集中力を必要とします。猫背になったら胸を張り、肘をついているのに気づいたら背筋を伸ばし、足を組んでいることに気づいたら座り直す。こういった無意識の行動に気づき、改めるといった行動を繰り返せば繰り返すほど、ウィルパワーを鍛えることができます。

②の鍛え方例→バッチ処理
「何かをやる」「何かをやらない」「何かのぞむ」という選択や決断の際に、どんなにそれが小さくてもウィルパワーは減っていきます。小さなことでウィルパワーを消費して、大きなことができなくなるのは非常にもったいないです。これを回避するのが、習慣化によるウィルパワーの節約です。
人は行動ではなく、意思決定で疲れます。そのため、決断をすぐに下して、即決できる仕組みを作った方がいいです。

バッチ処理とは、細かい仕事は1日の終わりなど、どこかの時間にまとめて片付けることです。まとめて最後にやることがコツです。
仕事や勉強中にやらなくてはいけない雑事を思いついたら、一旦メモしてすぐに頭の外に出しておきましょう。

②集中力の高い人は、実は長時間集中していない
そもそも、人間の脳は長時間集中を持続させないようにできています。
(野生の時代、一つのことに集中せず、多方面に注意を払う方が危険を回避する上で重要だったため)
つまり、一見集中力がずっと続いているように見える人ほど、うまく休憩を挟み、短時間の集中状態を繰り返しているのです。短時間だから疲れない、疲れていないから集中を繰り返せるのです。

集中力は長く続かないという性質を逆手に取り、集中できる時間を効率的に使っていく方法があります。
それは、あらかじめ時間を短く区切り、もうちょっとやりたかったというところで仕事や勉強を打ち切ってしまう方法です。このメリットは三つあります。
①ウィルパワーを使いすぎる前に終わるので、疲れが溜まりにくくなる。
②時間管理がしやすくなる。
③途中で終わった感覚が残るの、早くあの続きがしたいと思える。
仕事は完了するために割り当てられた時間に応じて複雑なものへと膨れ上がっていきます。そのため、自由な時よりも、制限のある状態の方が集中力は高まります。

ウィルパワーは、ノートを開くだけでも減っていきます。そのため、作業環境はできるだけものをなくし、選択肢を減らすことが重要です。

③集中力の高い人は、疲れを脳でコントロールしている
「モチベーションが上がらない。下がった」という言い回しがよく使われます。しかし、疲れ、やる気、モチベーションは主観的なもので、勝手に上がったり下がったりするものではないことが最近の研究でわかっています。
つまり、疲れているから集中できないは錯覚に過ぎず、脳の仕組みを知りさえすれば、疲れを切り離し、やる気と集中力を取り戻すことができます。
そこでプライミング効果を使います。
プライミング効果→観念によって人の行動が変わるという理論

例)ライオン、ゾウ、キリンといった単語を見せた後に、「スピードの速いものを答えてください」と質問すると、チーター、馬など被験者は答えを動物に限定して答えてしまう。
例)学生をグループに分け、あるグループに高齢者をイメージさせる単語を与えると、他のグループよりも歩く速度が遅くなった。

このようにプライミング効果は、外部から入ってくる情報によって、自動的に引き起こされ、その後の意思決定や思考に影響を与える。
このプライミング効果を使って、集中力を高めることができます。それは、「集中力を保つことができた」と感じられた場所を記録する方法です。
これにより、プライミング効果による暗示にかかり、その環境では自然と集中できるようになります。

第二章 高い集中力を生み出す7つのエンジン

第二章では、より集中力を発揮させる7つのエンジンを紹介します。エンジンを巧みに使い分けることにより、自在に集中力を発揮できるようになります。ウィルパワーを増やすという視点と、ウィルパワーを節約するという視点をイメージしながら読み進めてください。

エンジン1 場所
人は集中し始める時に、より多くのウィルパワーを使う。そのため、まずは机の周りや作業スペースでのスマホの扱い、物の片付けが大事です。
注意をそらすものを捨てる。これが集中力を起動させる場づくりの基本です。集中したいもの以外、何もない場所を作ることで、自然と集中力は高まり、勉強も仕事も捗ります。

仕事や勉強の内容によって場所を移すことも大事です。例えば、天井の高い部屋の方がアイデアを生み出しやすくなります。一方で、天井に低い部屋は、細かい作業に集中しやすくなるといったこともわかっています。

また、場所作りとして、音も重要です。創造性が求められる作業はカフェくらいのうるささが丁度よく、インプットには静かな場所が重要です。静かな場所がない時は、ノイズキャンセリングが最適です。

エンジン2 姿勢

脳のエネルギー源はブドウ糖と酸素であり、この二つを運ぶのは血流です。そのため、姿勢が悪いと血流が悪くなり、集中が途切れてしまいます。
また、15分に一度立ち上がると、脳に新しい刺激が加わり、集中力を持続させる効果が得られます。もっと言うと、立っている時は座っているときに比べて認知能力や集中力、判断力も大きく上昇することが研究で明らかになっています。これは、第二の新造と呼ばれるふくらはぎがよく動くことにより、血流が改善されるためです。仕事や勉強は座ってするものという固定観念を捨てることが、集中力を起動させるエンジンの一つになります。

エンジン3 食事

血糖値の急激な低下は眠気を誘ったり集中力を切らしたりします。そこで、低GI食品を食べて血糖値を上げ過ぎないようにすることや、間食を取り入れて、急激な上昇・低下を防ぐことが大事です。間食には、食物繊維が多く、炭水化物の消化と吸収を遅らせることにより、血糖値の急激な上昇を抑えることのできるナッツ類がおすすめです。

また、コーヒーやエナジードリンクは効果が出るまで20〜三十分ほどかかるため、眠くなる時間帯を予測して、先回りして飲むことが重要です

エンジン4 感情

喜怒哀楽は、集中力をさらに高める鍵になります。例えば
・怒りは行動や問題解決能力を高めてくれる
・悲しみは冷静でフェアな意思決定を促す
・喜び、楽しさは想像力を高め、意思決定を早くする
といった効果があります。そこで、感情の変化を予測してスケジュールを立てる、エモーショナルプランニングが有効です。
例)
・仲のいい友達と遊んだ後に仕事を入れる
・午後に企画会議がある日は、前々から美味しいと評判のランチを食べにいく
・ラッシュの電車にあえて乗って、悔しさを体験してから、難題となっている問題の処理を行う

感情と集中力は結びついているため、エモーショナルプランニングにより、パフォーマンスを引き上げることができます。

エンジン5 習慣

ウィルパワーを減らすコツは、習慣にすることで判断や決断を減らすことです。例えばアスリートは、練習によって、本来高度な選択、決断の連続であるはずの走る、蹴るといった動作を習慣化しています。ピッチャーの変化球にしても、サッカー選手のスルーパスにしても、素人にはできない瞬間的な判断と高度な動作です。しかし、脳を調べてみるといずれも前頭葉はあまり活動しておらず、主に働いているのは小脳であり、反射的に体を動かしているだけなのです。
これは集中力に関しても同じであり、高い集中力を発揮しなければできなかった作業も、習慣化することで集中せずに処理できるようになります。

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また、日々の生活の中で、選ぶ場面が少なければ少ないほど、集中力は上がります。つまり、持ち物と洗濯する機会を減らせば、集中力は自動的に上がるということです。例えば、スティーブ・ジョブスはいつも同じ服装でした。このように意思決定を減らせば減らすほど、ウィルパワーは消費されなくなります。脳は行動することで疲れるのではなく、小さな意思決定の連続によって疲弊していきます。そのため、雑事こそ即時判断することが重要です。

エンジン6 運動

運動習慣は、脳を強化し疲れにくくする働きがあります。また、運動自体にも脳をリセットするスイッチのような働きがあります。勉強、軽い運動、勉強というリズムを作ることで、途切れてしまった集中力を再起動することができます。
また、自然の中を歩くだけで疲れが取れるグリーンエクササイズ効果というものがあります。緑のそばを5分歩くだけで、二十分のウォーキングによる脳の疲れ除去と同じ効果があります。

エンジン7 瞑想

脳科学の分野、脳が瞑想に慣れてくると、集中力や注意力が向上することがわかっています。また、集中力アップだけでなく、睡眠の質向上やリラクゼーション効果もあります。瞑想を習慣化させることによって、より大きな成果が手に入ります。

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朝夕五分ずつ行うだけで十分な効果が期待できます。

やり方

①体を動かさず、じっと座る
背筋を伸ばした状態で、あぐらをかき、静かに目を閉じ、両手は膝の上におきます。
②ゆっくりと呼吸する
鼻からゆっくりの息を吸い込み、口からゆっくりと吐き出します。七秒かけて吸い、七秒かけて吐きます。
この状態を五分繰り返すだけです。

第三章 疲れをリセットする三つの回復法

疲れには、体の疲れ、心の疲れ、神経の疲れの三種類があります。しかし、これらの疲れによってウィルパワーが消費することはなく、本来は集中力が低下することもありません。しかし、脳はそれらの疲れを脳の疲れだと思い込み、物事に集中することに対してブレーキをかけてしまいます。
そこで、疲れに対する対策として重要なポイントは以下の二つです。
①脳は疲れを知らないという原則を知ること
②疲労感の原因となっている三つの疲れを軽減し、脳疲労の唯一の要因であるウィルパワーをしっかりと回復されること。

この章では三つの疲労の軽減とウィルパワーの回復に焦点を当てて集中力を高めるため三つの回復法を紹介します。

キュア1 睡眠

睡眠不足は集中力を奪う要因となります。6時間未満の慢性的な睡眠不足の場合、人間は普段よりも外部からのストレスや刺激に過剰反応しやすくなります。そのため、意識がそちらに向いてしまい、集中が続きません。大切なのは、いかに質の高い睡眠を取るかです。人間の脳は寝ているときに回復し、学んだことを記憶に定着させています。また、寝る直前に覚えたことは、余計な情報が入りづらいので、記憶に残りやすいことがわかっています。そのため、寝る前のスマホは余計な情報が脳に入ってくるので、控えた方がいいです。睡眠は、何時間寝たかよりも何時に寝るかを固定させる方が大切です。質の高い睡眠を取りたいが、なかなか寝付けないという悩みを抱えいる人は少なくないですが、これは多くの場合、セロトニンが体内に溜まっていないことが原因です。セロトニンを作るには、起きてから午前十時までに日光を20〜30分ほど浴びることや、散歩などの軽い運動をすることが大切です。
日中にウィルパワーを回復させたいなら、パワーナップと呼ばれる仮眠がおすすめです。パワーナップとは、ベッドや布団などに横になる昼寝とは違い、目を閉じ、じっと休息することで疲れと眠気を取り去る脳の回復方です。15〜20分のパワーナップは夜の3時間の睡眠に匹敵します。Googleやナイキではパワーナップ制度が取り入れられており、パワーナップ中だと周囲にわかるようにしておけば、業務時間中であっても一日一回パワーナップを取ることができるというものです。パワーナップは部屋の明かりを消した状態で横になり、目を閉じゆっくり呼吸する状態が最適とされています。しかし、椅子に座った状態で目を閉じ、腕を枕に呼吸のペースを落とすことでも同様の効果が得られることがわかっています。パワーナップの注意点として、20分以上の睡眠はレム睡眠に入ってしまうため避ける必要があります。タイマーをセットし、20分以内に切り上げるように心がけましょう。

キュア2 感覚から癒す

最新の脳科学の研究では、脳は疲れないということがわかっています。私たちの感じている疲労の原因は脳の疲れではなく、体の他の場所にあるということです。その場所とは具体的には神経と筋肉であり、特に神経の集中している目の疲れを私たちは脳の疲れと錯覚しています。つまり、目の疲れを取ることで、集中力を取り戻すことができるのです。脳が処理している情報のうちの八割以上は、視覚を通して集められています。つまり、目は脳と直結する特殊な器官なのです。そこで、疲れによる目の機能の低下を適宜回復させることができれば、それだけで集中力を持続させることができます。目の疲れの原因の一つは、目の周りにある筋肉の緊張です。パソコンやスマホのディスプレイを見続けたりするなど長い時間目を動かさないことで疲労が蓄積されていきます。目の疲れの解消にはまず筋肉の緊張をほぐすことから始めましょう。
ここからは、オフィスや教室でもすぐに実践できるおすすめのケアを三つ紹介します。
①目を温める
目を温めることによって、目の周りの筋肉の血流が改善されます。血の巡りが良くなると、キンニックを動かすためのエネルギーが円滑に運び込まれ、同時に疲労物質が排出されます。その結果として、目の疲れが軽減されます。電子レンジで温めた蒸しタオルやホットアイマスクを利用しましょう。
②目のストレッチを行う
瞼をぎゅっと閉じ、その後にパッと大きく開きます。これを数回繰り返した後、眼球を上下左右に動かしましょう。これを3セットほど行い、仕上げに眼球を左回りと右回りに一周ずつ円を描くように回すと、目の周りの筋肉がほぐれて疲れが取れるだけでなく、瞬きをすることで乾燥していた眼球に潤いを取り戻す効果もあります。
③目を休ませる
最も効果的な方法は、真っ暗闇の中で視覚情報をシャットアウトすることです。5分ほどの短い時間でも視覚情報をシャットアウトすると、目薬やマッサージを上回る疲労回復効果があるとされています。

嗅覚を刺激してウィルパワーを回復させる
香りは人間の記憶と感情に大きく作用します。感情を司る大脳辺縁系は、嗅覚から入ってきた香りに応じて、ある感情を呼び起こし、行動を促したり、キオっくを呼び起こしたりといった働きをします。また、視床下部という部位に電気信号を伝え、ホルモンの分泌を促し、血流を増加させ、血中酸素を増やすなど各臓器の働きを調整します。香りによって、その効果はさまざまであり、ここではおすすめの三つを紹介します。
①ローズマリー
脳への血流に作用し、ウィルパワーが回復すると言われています。
②ペパーミント
爽やかな香りにはリフレッシュ効果があり、集中力を高めます。また、ペパーミントには覚醒効果が認められており、仕事や勉強による疲労、眠気を改善する効果があります。
③シナモン
脳の認識機能と記憶力を高めることができるとされています。


キュア3 不安を書き出す

人間には、最近の出来事を覚える短期記憶と、昔のことを覚えている長期記憶があります。さらにそれに加えて、情報を一時的に保つワーキングメモリーという機能があります。これは何か目的を持って作業するときに使っている記憶力のことを指します。例えば、目の前の相手と話しているときに相手の質問にスムーズに答えられるのはワーキングメモリーに相手の質問内容が記憶されているためです。つまり、仕事や勉強の間、私たちは常にワーキングメモリーの助けを借りているわけです。ワーキングメモリーにはウィルパワーと同じく個人差があるものの一定の容量があります。同時に色々な作業をこなしたり、選択と決断を繰り返したりするうちに、覚えられないものが増えてくるのです。するとぼーっとしたり、判断が鈍ったり一つのことを深く考え続けることができなくなります。つまり、ワーキングメモリーがいっぱいになった状態もまた、集中力の低下した状態だと言えるのです。ワーキングメモリーについての研究に、試験前にあらかじめ不安を書き出すことで、問題を解くために使えるワーキングメモリーが増えるというものがあります。また、これは紙に何かを書く行為に緊張を和らげる効果があるのではなく、試験に対する不安について書き出すことに効果があることも証明されています。この理由はワーキングメモリーにあります。プレッシャーを受け、試験に対する不安が高まると、ワーキングメモリーが心配事だけで手一杯になってしまうのです。ところが、紙に書き出すと心配事が外に吐き出されるのです。その結果、ワーキングメモリーがリセットされ、空き容量が増えるという仕組みです。

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つまり、自分の不安な気持ちを書き出すことには頭の中をスッキリさせ、集中力を高める働きがあるのです。

休憩後に速やかに集中状態へ戻るには
人は、最初の5分間にうまく集中することができると、その後も集中力が続くとされています。つまり、休憩後の最初の一歩が肝心。ここでグッと向き合うモードを作ることができれば、質の高い集中した時間を作り出せるのです。そこで、集中状態への導入をスムーズにするテクニックが簡単な作業、解ける問題から取り組むことです。最初に簡単なことを行なってリズムを作り、苦手意識を薄くすることで、自信と集中力が持続します。おすすめは復習や計算ドリルから始めることです。徐々に創造性の必要な作業に入っていくと、無理なく集中力が高まっていきます。


第四章 集中力を自動で作り出す5つの時間術


「重要な仕事の集まる人」には、ある共通点があります。それは、時間の使い方です。彼らは高い自己コントロール力によって、常に自分を時間がないけどやらなくてはならないという状況に追い込み、短時間で多くの作業を処理できる集中力を作り出しているのです。この集中力を自動的に作り出す時間術は才能がなくとも、誰でも訓練によって身につけることができます。

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時間術1 超早起き

脳は朝起きてからの2時間の間に最もクリエイティブな力を発揮することがわかっています。朝は誰にも邪魔されずに睡眠によって回復した十分なウィルパワーをクリエイティブな発想に費やすことができます。特に朝食後の30分から1時間が1日の中で最も集中して物事に臨みやすく、なおかつ自分おをコントロールする力も高まっている時間帯になります。この時間を自分の将来のための勉強やトレーニングの時間などに当てることは最高の自己投資となります。夜、疲れて帰ってきて新しいことにチャレンジするよりも短い期間で確実にものにすることができます。8時に家を出るのなら、6時に起き、朝食を済ませ、6時半から7時半の1時間を自分だけのために使う。そんな習慣を使いましょう。また、ランニングやをーキング、ストレッチなど15分ほどの運動を盛り込み、脳を活性化することもおすすめです。こういった実例や脳科学の研究書をもとに、集中力を作り出すことができる朝行うべき行動をまとめました。
1.早起きして朝食を取る
2.グリーンエクササイズなどで朝日を浴びながら軽く汗を流す
3.モチベーションの上がる話題や言葉に触れる
4.毎日ひとつ、ノートやパソコンなどに日常の幸せへの感謝を書き留める
5.毎日、今日が人生最後の日ならどうするか自分に問う
6.その日の計画を10分以内に立てる
7.短時間の瞑想をする
3、4の前向きなインプットやメモは心を整えるためのアクセントです。また、5により自分がやりたくないことをはっきりさせることで無駄な意思決定が減り、ウィルパワーの消費がなくなります。また、6を行うことで、無駄を省くことができ、何をしたのかよくわからない1日になってしまうことを防ぎます。

DaiGoおすすめの時間の使い方


朝はインプットの時間です。新しい分野の本を読み、集中して机に向かい、ノートのアイデアなどの書き出す時間に使います。
昼は基本的にアウトプットする時間です。同時に、朝のインプットしたものを定着させる復習の役割も担っています。朝のゴーデンタイムに集中してインプットやアイデア出しを行い、それを昼間のビジネスタイムに人との会話によって明確な形に変えていく。このサイクルができるだけで、人よりも遥かに効率的に時間を使えるようになります。
夜は復習の時間です。1日の終わりは集中力が低下しているので、軽めの本を読んだり、ノートを見返したり、全く仕事とは関係ない映像を見るなど、切り替えた時間の使い方をしています。

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夜は新しいことに挑戦する意思や集中力が残っていないので、家に持ち帰って仕事をする、または新分野を学ぶための時間には向いていません。特に、クリエイティブな仕事を夜やるのは無理があります。しかし、静かに復習するには適した時間です。極端な話、17時以降はもう集中しないと決めてしまうのもいいでしょう。つまり、集中力を存分に活用した1日の使い方は朝はインプットの時間、昼はアウトプットの時間、夜は復習の時間の以上です。これを毎日繰り返し、仕組み化していきましょう。

時間術2 ポモドーロテクニック

ポモドーロテクニックとは、25分の集中と5分の休憩を繰り返すものです。取り組むべきタスクを短い時間に分割し、5分間の休憩時間を挟みながら処理していくだけです。時間をかけずに集中状態に入るための訓練にもなり、続けていけば注意力や集中力も強化されます。タイマーなどで時間を区切り、「もう少しやりたかった」というところで休憩に入ることで集中力を高める狙いです。作業に飽きる前に休憩することで、再開した時もスムーズに集中状態に戻ることができます。これは心理学でデッドライン効果と呼ばれているものです。時間をくぎれば仕事が管理しやすくなり、集中力が増していくのです。この25分間は一つのことに集中してください。他のことをしないというルールを守るだけで、集中力が必ず高まります。また、休憩の前後でやることを変えてはいけません。脳は無意識下でもさっきまでやってたことを考えてくれます。そのため、休憩後再開した時に、アイデアがたくさん出たり、作業が早くなったりする「寝かすといいアイデアが出る」効果が発揮されます。この5分間は散歩でも瞑想でもいいです。休憩と言ってメールを見たり、パズルをやったり資料を整理したりするのは脳が上の空にならないので休憩になりません。

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時間術3 ウルトラディアンリズム

ウルトラディアンリズムは体内に組み込まれた90分、20分のリズムです。睡眠の場合、90分の深い眠りと20分の朝居眠りを繰り返しています。この時間生物学の法則は集中力にも当てはまります。ウルトラディアンリズムに沿って集中力を有効活用するためには、対象を絞り込み一つずつクリアすることです。90分の間、一つの目標に取り組むことが大事です。90分で取り組むタスクは一つに絞り、それ以外は捨てる勇気を持ちましょう。

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ウルトラディアンリズムでは、いかに20分で休むかが重要です。パワーナップ以外にも、オフィス内を歩く、無人スペースでストレッチをするなどして脳が別の刺激を受け、ウィルパワーを回復するようにしましょう。

時間術4 アイビーリーメソッド

アイビーリーメソッドは、一つの作業が終わるまで断固として次のことをやらないという仕組みづくりです。仕事や勉強に集中したい時にはあれもこれも気になってしまう心の動きは不要なブレーキとなってしまいます。こうした状態から抜け出すためには、今使える時間で何をするのかあらかじめ明確にしておくことが有効です。アイビーリーメソッドのポイントは6つです。
1.紙に明日やるべきことを6つメモする
2.その6項目を重要だと思われる順に番号をふる
3.翌日このメモの順番に従って仕事を進める
4.もし全部できなかったら悔やむことなく忘れる
5.その後、明日のための六つの項目を新しくメモする
6.1〜5を丁寧に繰り返す
また、絶対に守るべきポイントが一つあります。それは1番が終わるまで1番のことしかしないことです。結果的に1つか二つしかできなかったとしても、気にしてはいけません。あなたはその日に一番大切だと思っていた仕事を済ませたのですから。

時間術5 スケジュールに余白を作る

このメソッドを身につけると、思い通りに予定を消化できなかった日の挫折がなくなります。緩衝材としての時間をあらかじめ用意することで、ゆとりが生まれます。週二日間は帳尻を合わせるために使いましょう。1日でも思い通りに進まなかった時、挫折感が生じ、二日め移行のモチベーションも下がってしまうというのはよくあるパターンです。だからこそ、予定や目標を1日ごとに立てず、代わりに7日間ごとに数値目標を設定する。これによって今日はできなかったという挫折が消えます。また、週の二日間を余白の時間にするとは別に、1日の中であえて捨てる時間帯を持つというメソッドがあります。人間は頑張ったからサボってもいいだろうという時間を設けてしまいます。中途半端な満足感が集中力を途切れさせ、目標達成の妨げになってしまうのです。あえて自分から怠ける時間を作っていくことで、反動により丸一日怠けてしまうことを減らします。

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