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【短歌】最後の今日

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毎日が最後の今日だから
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春雨に撃たれる系

春雨に撃たれる系

「春雨に撃たれる系の女子です」と子供部屋から呟く女
雨降りの窓の向こうに落伍者の私を喰らう鮫の行列
珈琲とワッフルでギリ生きている十年が過ぎ未だ生きてる

つづく

つづく

サクラサクとっとと散ってくれないか白いマスクは残り少ない
今月も当然イタイ遅れても約束だけは律儀に守る
目が覚める残念ながら生きている目覚まし時計だけが元気だ

ウツウツとした私

ウツウツとした私

鬱々とした毎日に病んでいる気圧変化に負けちゃう私
上がっても下がっても無駄どうしても病んでいるから止んでくれない
気が付けば慢性化した不調から逃れられずにのたうち回る
街中を跳ねる春雨ハレの日も腫れ物だから晴れない気分

雨に溺れる

雨に溺れる

アスファルトスキップしてる場合ではないほどの雨つねに苦しい

昨晩の大雨の音10時から急降下する気圧の話
アノトキが夢に出てきて目覚めても苦しいままで湿った枕
一錠に1ミリグラム入ってる何かによって生きてしまった
泣きながらブルーを吐いた哀しさに理由があれば言うべきですね

金平糖が明日降ること

金平糖が明日降ること

雨音の数だけ募る不安とかすぐに洗って流しちゃいたい
後頭部あたりは晴れであとは雨飴雨雨が気まぐれに降る
重すぎる雲とか雨に食まれてる私は動くことができない
冴え冴えと頭は澄んでいるけれど朝から絶えず降る涙雨
ふと息を吹きかけたならしゅんわりと溶けちゃうくらい柔らかい雪
ヒンヤリと気温カタカナ硬くってチクチクします今日はツメタイ
青空を舞い踊るのは白い雪頬を突き刺す冷たい空気

雨粒の弾丸に撃ち抜かれる系女子

雨粒の弾丸に撃ち抜かれる系女子

数えてもメランコリーの瞼には夜が来ないと羊が鳴いた
グラノーラふやけるまでの五分間待てなくて今カリカリしてる
雨粒の弾丸に撃ち抜かれる系女子明後日凹んで休み
煮詰めたらキライツライジャム完成十枚切りの食パン買って
太腿が纏う痛みはまだ海で人魚をしてた頃の名残で
幸せを祈りますから暫くは私を捨てて独りにさせて

剥き出しのポケットティッシュ

剥き出しのポケットティッシュ

明日こそ早起きすると決めた夜すでに寝坊の予感がしてる
つつがなく終わりますよう願いつつポーチに分けて鞄に詰める
剥き出しのポケットティッシュ見ていたら何故だか妙に哀しい気分
百均で布買って来て縫おうかなポケットティッシュ凍えぬように

凍えるほどのアイスクリーム

凍えるほどのアイスクリーム

寝坊して睡くてサムイ布団からゴミ収集車が右に曲がる
いつまでも冷たいままのつま先が炬燵の中で震えています
液晶をなぞる中指ささくれてやさぐれている緑茶ください

電池切れの私

電池切れの私

急激に落ちて機能は全停止 予備電源の付いてない人
チョコレイト効果はあると信じてる錯覚だって気づかせない
空元気インスタントに作るなら少し濃いめにドリップしてね
失った肩甲骨を見つけ出し優しく凝りをほぐして欲しい
なんだって理由になるさ証明の必要の無い私の不調
バッテリー切れてる私いつだってタイプが違う充電コード

初恋じゃないレモンが香る

初恋じゃないレモンが香る

教室の外に置かれたテーブルに私と文具あとレモンティー
埋まらないレポート用紙呻くよに聞こえる講義独りの廊下
ぼんやりとペットボトルにキスすれば初恋じゃないレモンが香る
今日中に終わらなくても明日があるずっと明日をアテに生きてる
図書館は飲食禁止ブリタニカ百科事典で殴るのもダメ
必要な箇所だけコピー上辺だけわかったフリをするのは得意
鉛筆が記す概要眺めつつ凍える指で打つキーボード
提出は来週までで温

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パズル

パズル

空っぽの頭と指で揃えてくパズルは今日も解けないままだ
解けないと落ち着くのですまだ明日が残されているような気がして
考えて解いたらひどく疲れるし当てずっぽうの右の中指
考えてしまうどうにもならぬこと忘れるために色を揃える
乱れてる自律神経整える為に嵌め込むピースがないよ

花火

花火

蝋燭に火が付かなくて十五分開始時間が押しております
頻繁に消える炎の守護神が花火の質の悪さを嘆く
美しい一瞬狙い切り抜いて永遠にする作業優先
吸い込んだケムリ虫除けそれなりに楽しい夏の思い出候補