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【短歌】氷の吐息

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私を蝕む病を詠う
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ゆめうつつ

いつまでも心の傷に住み着いて今日も私は傷ついている
もう二度と会えない人ともう二度と会わない人がまだ恐ろしい
海底でジムノペディを聴いているなるべく早く睡れるように
今晩も夢に出てきた苦しみがより鮮明に書き換えられた

鮫を抱える

鮫を抱える

頑張って努力したから壊れたよ鮫を抱える下等遊民
泣けないし楽しくないし苦しいし死にもしないし壊れているし
そうじゃない(喉に支えて)違うって(些細な齟齬に蝕まれてる)
ごめんねを誰の口から聞きたいか分からないからみんな謝れ

読書灯消した瞬間あらわれた底無し闇に冷たい不安

午前二時バナナ齧って飲むココア心鎮まる食べものらしい
睡眠の質を高める方法を調べて午前四時になります

ふゆうかん回転しない

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パズル

パズル

空っぽの頭と指で揃えてくパズルは今日も解けないままだ
解けないと落ち着くのですまだ明日が残されているような気がして
考えて解いたらひどく疲れるし当てずっぽうの右の中指
考えてしまうどうにもならぬこと忘れるために色を揃える
乱れてる自律神経整える為に嵌め込むピースがないよ

踵

火曜日と木曜日だけやってくる人が見ている骨は私の
肉眼で見えないけれど先生に踵の骨を褒めてもらった
「七センチくらいだったらまぁ別に影響ないよ」「あ、そうですか」
神経も骨も何にも異常なし多分心の問題でしょう
処方薬飲めば心の問題もわかりますかね? 治りますかね?
原因に興味なさげなお医者様「酷くなったら来てくださいね」
痛いけど対処療法しかなくて踵を覆う湿布がヒヤリ
処方薬なくなる前に収まってあ

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少し苦しむくらいよ

少し苦しむくらいよ

大丈夫そんなに雨は降ってない少し苦しむくらいよ平気
十時間以上しずかに睡ってる残りはずっと虚空を観てる
起き上がるだけで十分くるしくてもう眠れない十四時半だ
回転を止めた思考の再開を誰より強く望まないこと
丁寧に暮らす動画を眺めてる思考不全に程良い刺激
言葉にはしない代わりに判を押す文字が少ない月刊リフィル

呪いみたいだ

呪いみたいだ

涙腺の時限爆弾処理班の到着またず爆発します
認識のズレに勝手に傷ついて泣いているだけお気になさらず
秋風に吹き飛ばされた焦燥は消えずにちゃんと帰ってきちゃう
今まさにマーマレードの瓶の底すくえないからすくわれないね
軽快に撃ち抜かれても構わないどうせ適度に死んでいるから
自覚した途端に消えたエビデンス怨む気力も燃え尽きて、灰
「大丈夫やり直せるよ」「大丈夫上手く行くって」呪いみたいだ

私ワタシをすくえない

私ワタシをすくえない

芽木の雨降るから窓を薄く開け最後の頁糊付けしてる
通り雨みたいなものだ感情も不意に降られて流されていく
向き合って受け入れられるほど強く無いしアチコチ故障している
機を待つと言って五年が過ぎ去って機会はすでに逸したってさ
夢寄りの現でうつつ抜かしてるうちに羊が山羊になったよ
悪いのは私なのかと沈み行く途中の泡は私の味方
ふわふわ脳みそ匙で掬いつつ私ワタシをすくえないって
睡眠の方へ傾き倒れこみ明日

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視覚から疲れて

視覚から疲れて

視覚から疲れて試着すら嫌でなんでお店に来ちゃったのかね
沢山の色が視覚と神経をすり減らすって判ってるのに

つつがなくとどこおる

つつがなくとどこおる

眠れない一日でしただからまだ今日を続けていても良いかな
変わりなく病んでいますと返事する明るく見えるような言葉で
晦と気づいたけれど変わることなどない訳で焦りすらない
なんとなく調子の悪い一日が終わりそうです不協和音で
重力が五倍くらいの一日が終わるのにまだ眠れずにいる
起きて寝てまた寝るだけで終わってく今日も今日も今日も今日も

丑三つ時の頭痛

丑三つ時の頭痛

頭痛コメカミとクビを冷やして祈ってる痛みよ遠くアイツに届け
「何かいる? 買ってこようか? アイスとか」うるさい黙れ静寂をくれ
砂糖漬けイブプロフェンが体内のどこかで溶けた。だから平気だ。

丑三つ時

午前三時のササクレ

午前三時のササクレ

空っぽに何を満たせば救われる? 救われたいとまだ思ってる?
志し壊して棄てて逃げ出して何もない日を死んで生きたい
孤独だと思い込んでる真夜中に声を聞きたい人などいない