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つれづれつづれ

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散文、短編など
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2017年5月の記事一覧

散文 4

夫とふたりで池袋へ繰り出した。
母の日に、互いの母親への贈り物を探しに。

たっぷりの湿気を含んだ東上線の車内は、しんとしていて、このままどこまでも乗っていたいような感覚になる。

デパートの地下は、明るい。
雨の日の憂いや気だるさなどまるで関係なく、雑多で明るい。
一歩踏み入れると、意図していないのに、なんとなくこちらもうきうきしてしまう。

どうやら最初から目的の物は決まっていたようで、夫は、

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散文 3

言葉は、意味を持つ運命にある

私の喉の奥から発せられた音は
瞬間、それに見合った熱と意味を持ってしまう

そうしてそれは、上手に独り歩きを始める

人は、発せられた音から、意味を咀嚼し、満足する

世界には意味が溢れていて

その騒音に、時々、溺れそうになる

こんなにも言葉が好きなのに

もしかしたら

もうずいぶん前から
逃げたかったのかもしれない

詩を書いているのに

意味を

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