レオナルド・ダ・ヴィンチの作品は本物?偽物?
私が最も敬愛している画家、レオナルド・ダ・ヴィンチ。
超完璧主義ゆえに発表された作品は少ないですが、そのほとんどがS級クラスの芸術品です。
ルネサンスの黄金時代に活躍した画家であるため、これまでの長い年月で幾度となく作品の修復がなされていますが、どんなに一流の職人でもダヴィンチの絵を完璧に修復することは出来ません。ダヴィンチが異次元すぎて、プロでも対応できないのです。
例えばこの作品。
これは完全に修復失敗。絵が堅すぎます。
柔らかいタッチが売りのダヴィンチ絵画なのに、スフマート技法が消えてしまっています。
このように、ダヴィンチの作品は修復によって残念になったものがいくつもあるのです。もはや彼の真作は現代にほとんど残っていないのではないか?と言うのが私の考え。
次にこちらの絵を見てみましょう。
数年前突如現れた、ダヴィンチの真作とされている作品。ザルバトール・ムンディ。
私は初めてこの絵を見た時、偽物だと思いました。だって、ダヴィンチにしては下手すぎませんか?
後に調べて分かったのですが、修復師が相当な手を入れたそうで…全く何やってんだか!
ですが、修復前の絵も微妙でした。
うーん。
手と袖口なんかは本人が加筆した可能性もありそうですけど、それでも書きかけレベル。特に瞳の描き方に違和感を感じました。ダヴィンチが描く人間の目って、写真レベルで精巧なのです。どんなに拡大しても絶対に粗が出ない、手描きと分からないくらいの技術。ですが、ザルバトール・ムンディは目どころか全体的に手描き感満載。ダヴィンチ作と言うには手抜きすぎるのです。
「申し訳ないがどっちも同じに見える」
「修復後も上手いに変わりない」
なんておっしゃるそこのアナタ!!
これを見てもそう言えますか?
これが描きかけの未完作ですよ!?
いくらザルバトール・ムンディの損傷が激しいとは言え、ダヴィンチにしてはお粗末すぎません?
本人のものだとしても、世に出すつもりのない失敗作ですよね(まあ、それはそれで価値ありか)。
私も絵画を学び始めた頃は、何が良い絵なのか、ホンモノの芸術とは何なのか全く分かりませんでした。だけど現代美術を学び始めた途端、面白いくらい違いが分かるようになった。それが分かってから絵のレベルも格段に上がりました。
それでもまだまだ良い絵は見極めきれていないし、師事する先生の足元にも及ばない。
その先生が化け物だと恐れる天才、レオナルド・ダヴィンチ。
贋作か否かの議論がなされる時点で、本物ではないと思っています。だって、彼の圧倒的な絵画技術は疑う余地がないのだから。