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ご依頼は直球でお願いいたします

「スーパー寄るけどいるもんある?」

このLINEは、もうすぐ仕事を終えるか、仕事を終えて会社をあとにした夫からの連絡で、つまり「スーパーに寄って帰ります」と言い換えられる。
夫は軽く一杯引っかけてくる日や、残業で遅くなってラーメンをつるっとすすって帰ってくる日がちょこちょこある。だからわたしは「帰ります」の連絡をもらってから夕飯をつくりはじめることにしている。
(つくっている途中で夕飯要らないっていわれるの、すごく嫌なんだもの)。

今日はわたしもスーパーで買いものをすませていたため、要るものはないと返信。重い腰を上げて夕飯の支度にとりかかる。

追って、このようなLINEが送られてきた。
「炊飯器だけ早めにセットできればと思います」

おなかを空かせた夫は、一刻も早く夕飯にありつきたいのだ。
おかずをつくりはじめる前に炊飯器をセットしても、結局ごはんが炊きあがるまでの間におかずができあがることが多く、結果ごはん待ちになる日が多い。
だから「炊飯器だけ早めにセットできればと思います」のLINEを送るに至ったのだろう。

要するに夫の本意は「炊飯器を早くセットしてくれ」のはずだ。

∽∽∽

夫はこういうものの言い方が多い。
そしてわたしは、いちいちちょっとカチンとくる。

「炊飯器だけ早めにセットできればと思います」のひと言から、「お米を早く炊いてほしい(なぜなら夕飯を早く食べたいから)」と彼の本意を推測するちょっとした負担を強いられる。

そして「それなら最初からお願いしてよ」と思う。
「忙しいとこ悪いけど炊飯器だけ早めにセットしといてくれへん?」でいいじゃないか。
わかりやすく頼んでくれたらわたしも「じゃあいっちょ炊きますか」と変に引っかかることもなく動ける。
やってほしいなら、なぜ頼まない?

「早めにセットできればと思います」というのは、こうも捉えられる。
「帰ったらソッコー炊飯器セットしますので」
こんなふうに解釈して、夫が帰宅するまで炊飯器をセットしなかったらしなかったで「早めにセットしたい言うたやん」と(空腹も相まって)めちゃくちゃ不機嫌な顔をされるだろう。
…やっておいてほしいなら、なぜ頼まない?

∽∽∽

「忙しいとこ悪いけど炊飯器だけ早めにセットしといてくれへん?」ですむのに、なぜあんな回りくどい書き方をするのか、夫に直接問うてみた。

「自分が今すぐごはんを炊けるわけじゃないし、(わたしに)動いてもらわなあかんから、申し訳なさから控えめな表現してん」

申し訳ないと思っているならなおのこと、ストレートに頼んでほしい。
そのほうが話が早いし、わたしも気持ちよく動ける。
と、夫にも告げた。

夫は気遣いしたつもりなのに、こちらは「察してくれとはおこがましい」とさえ感じている。こんな皮肉ったらない。
人はみな異なる脳みそをもっていて、みな違う感覚で生きている。
「察してほしい」はさっさと捨てたほうがいい。その気遣いは「頼んだら嫌な顔されるんじゃないか」という、保身のための気遣いだ。それは本当の気遣いとはいわないし、そんな気遣いは要らない。

相手に察することを要求するような表現は、相手側からすれば負担以外のなにものでもない。
わたしも気をつけよう。人になにかを頼むときは直球で。
その気遣いは本当に相手のため?それとも保身のため?



今日も読んでくれてありがとうございます。
最近あなたが人にお願いしたことはなんですか?

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