いっそ海外で働きたいと本気で思う日
人間は体内時計の周期によって朝型・夜型・中間型と大まかに3タイプに分かれるらしい。
遺伝子レベルで決まっているとの研究もある。
くわえて、年齢や社会的に余儀なくされる生活習慣の影響もある。
思春期~20歳前後が夜型のピークで、加齢とともに徐々に朝型へとシフトする傾向にあるらしい。
ここ数年はリモート授業・リモートワークで夜型生活にシフトしている人も少なくないそうだ。
だとすればフリーランスのわたしは夜型にシフトしやすい属性だ。
とはいえ思春期をとうに過ぎたというのにちっとも朝早く起きられないので、もともと夜型なんだと自認している。
記憶の限り親にもっとも言われた小言は「早く寝なさい」である。
高校生のころ「毎朝アラームがうっせぇんだよ!」と相部屋の妹にブチ切れられ、部屋を出ていくことにした。
土日祝日は起きたら夕方なんて日常茶飯事だ。
10時待ち合わせのデートなのに目が覚めたら14時で、当然だが彼からの鬼の着信履歴に震え上がったこともある。
社会人になっても朝は母親にたたき起こしてもらい、結婚して夫と暮らすようになってからは夫に起こしてもらっていた。
飲み会で酔って潰れはしても寝落ちはない。
旅行や宅飲みでも、みんなが寝落ちするから自分も眠るしかなくなって眠る。
そして翌日いちばん遅くに起きる。
フリーランスに定時はないので、夜型体質の会社員の方々にくらべたらそりゃあずいぶん楽だと思う。
事実わたしは会社員時代、母や夫に起こしてもらっていたのだから。
一般的な会社員が仕事終わりちょっと1杯いこうと思ったら、ノー残業デーなんかであれば18時前には居酒屋にピットインできるのではないか。
わたしは朝が遅い代わりに、呑みのゴールデンタイムを完全に逃している。朝起きられないぶん、いたしかたないトレードオフだ。
でも、逃しているのはそれだけではないように感じる。
わたしの夜型遍歴に770文字も費やしてしまったが、フリーランスというのは「いつでも好きな時間に働ける」のが大きな特徴であり、メリットでもある。
極端な話、納期さえ間に合えばAM3時に執筆しようが問題ない。
最初はその恩恵を浴びるように受け取っていたのだけれど、最近またちょっと、肩身の狭さを感じるようになってきた。
理由は2つある。
まず「即レス至上」の風潮。
なかには日付が変わった深夜にクライアントからメッセージをもらうこともあるけれど、ごく一部だ。
大概は9時~18時のあいだに送られてくる。
朝のスタートが遅いうえ、仕事をメッセージチェックから始めない主義のわたしの場合、連絡の対応はだいたい午後になる。
午前に連絡をもらっても、早くても返信は午後。
…つらいよ即レス。
もうひとつは、打ち合わせや勉強会の日時調整において、わたしだけ予定が合わない場合が少なくないこと。
たとえば親御さんの介護をしている方とか、小さいお子さんがいる方、Wワークの方とかって、やっぱり動ける時間に制限が(わたしにくらべて)多いと思うのよね。
それは別に合わせられる人が合わせたらいいと思うし、そこで相手に対して「なんだよこいつ融通きかねーな」みたいな感情ってわかないじゃない?
でも、どうかな。
「どうしても朝が苦手なので、11時以降でお願いします」っていわれたら。
「お前の起きる時間なんて知ったこっちゃねーよ、仕事なんだから、ほか全員がその日時に揃うんだから、その日ぐらい早く起きろ」って、思う人もいるはずなんだよね。
まあ、朝が苦手だからという言い方はしないし、できるだけ日程調整はこちらから日時を提示するようにして対策しているけれど。
…つらいよ日程調整。
これが、たとえばわたしがモーツァルトやダーウィンみたいに、めちゃくちゃ実績をあげている著名人だったら話は別だろう。
「先生は朝が苦手ですものね」ですまされていくのだ。
わたしみたいなどこにでもいるライターは、そうはいかない。
どうやっても、圧倒的に人口の多い朝型と中間型の人たちに合わせるしか、肩身の狭さを解消する方法はないのだ。
ここ日本においては。
ああ、わたしヨーロッパあたりで日本を相手に働くのがちょうどいいのかもしれない。
あるいは日本にいて海外を相手に働くのがちょうどいいのかもしれない。
そんなくだらない妄想も生まれるさ。
でも機会があれば1回、試してみたいよね。どれだけスムーズに仕事が進むのか。
そんな淡い期待を1mg心に置いて、今日も明日もわたしはこの国の片隅で、何度失敗しようとも、せめて中間型ぐらいの生活を送ろうと人知れずチャレンジしているのである。
もしくは「仕方がないですね」ですんでいくレベルの実力が身につくほうが先だろうか。
…どっちでもいいから、どちらか実現したい。
まじでよくがんばってるよ、じぶん。
今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたがじぶんの体内時計で苦労したことは、なんですか?