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今日ときめいたこと203ー「今さらですか?」(その2)

(2024年8月17日付朝日新聞「民間空襲被害者 今こそ救済に向け前へ」から)

戦争で心に傷を負った元兵士の実態調査をすると言う記事(下段の記事参照)に続き、民間人戦争被害者救済の記事。どちらも「今さらですか」との思いだ。

79年が過ぎた今頃になって、空襲などで被害を受けた民間人の救済が動き始めた。戦争中、日本には救済の法律があったそうである。死亡、けが、家財の消失などに対してお金が支給されていた。だが戦後、占領軍の指示で軍人恩給が停止された際、一緒に廃止されてしまったそうだ。

日本の独立が回復した後、旧軍人向けの制度はすぐに復活し今日まで60兆円も支給されたという。日中戦争以降の戦争で死亡した310万人のうち、民間人は80万人、けが人はもっと多いはずだ。旧軍人らは国との雇用関係があるとの理由で、全国民が受けた被害に対する救済の訴えを退けてきた。

だが実際は救済の対象は一部の民間人に順次広げられたという。軍需物資を運んだ船員、動員学徒、沖縄戦被害者の一部、被爆者など。その時々の強い運動に対して対応してきた。結果、不平等、不公平な救済制度ができあがったという。

例えば、同じ空襲でけがをしても旧軍人なら特別給付があるが、民間人ならゼロ。沖縄では集団自決の民間人も救済の対象に加えられたが、米軍上陸前の空襲被害者は対象外だ。

2009年の東京地裁判決では空襲被害者の訴えを退けている。2020年に超党派国会議連の作った救済法案要綱は、心身に障害の残る被害者に一時金50万円を支給するという内容だが、この案では軍民格差が残る。被害者が求めた額100万円から大きく後退しているし、遺族は対象になっていない。それでも高齢の被害者は支持していると言う。

不十分で遅きに失した救済だが、それでも前に進めたいと記事は結んでいる。



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