海月|詩
おぼろげな満月が夜空に浮かぶ
青白いワンピースを着たきみは
透明なガラスのように
儚くてもろい体を
暗い海に漂わせ 月光を泳ぐ
ゆらゆらと ゆるゆると
海面に浮かぶきみの姿を
白い浜辺からみつめる
蕾をとじたツキミソウの花が
ざらめの星に照らされ
ぬくもりを咲かす
かぼそい痛みさえ
夜の魔法に溶けて
あるがままを映し出す
きみは笑っているようで
本当は泣いている
奥底でくすぶる 孤独に震えながら
まだ知らない光を求めている
ぼくはただ
きみの心にふれたい
きみの痛みをしりたい
きみの孤独をもらいたい
きみの悲哀をのみこみたい
不健康な心は愛に飢えて
悲劇を欲している
きみと同じ温度で 同じ速度で
このまま深い深い海の底に沈もう
夜に溺れるまえに きみの毒で満たして