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【詩】透明人間

溶けていく色素
曖昧になる輪郭

通り過ぎていく人々の群れ
話しかけられることもなく
抱きしめられることもない

膝を抱え
溜息つき 
伸ばし過ぎた前髪は 鬱陶しくはなかった
傷を隠すための袖は 不格好ではなかった

消え入りそうな月光
気が済むまで浴び続ければ

更に溶けていく色素
益々曖昧になる輪郭

透明な目で見つめる世界は どれ程の魅力があるのだろうか
透明な心で実感する世界は どれ程の輝きがあるのだろうか



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