【詩】パスワード
『入力されたパスワードは無効です』
何度この字面を見てきたことだろう
君の心には二重にも三重にもロックが掛かっていて
うんと すんとも 言わない堅物だ
アルファベットの大文字、小文字
特殊文字
数字
これらを組み合わせたところで
アブラカタブラの呪文を思いついたところで
認証には至らない
『入力されたパスワードは無効です』
そんな無機質な字面が何度も吹き出しに現れている間にも
君の強張った心は益々がんじがらめになっていく
巻かれた鎖は簡単には解けなかった
まだ試していない8桁のパスワード
脳内に浮かんだ秘密の暗証番号
■■軸の境界線とでたらめな▲▲▲座標
震える指先で Enterキーを打った
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