第149回:会話って楽しいけど難しい(辻村深月:『噛み合わない会話と、ある過去について』)
こんにちは、あみのです!
今回の本は、辻村深月さんの『噛み合わない会話と、ある過去について』という作品です。以前noteで今作を読んだ方の感想記事を読んで、とても気になったので読んでみました!
家族との日常風景、小学生時代の同級生や先生からの何気ない言葉、大学時代の楽しかった思い出…。今作は過去にした誰かとの「会話」がカギとなる4つの物語が収録された短編集です。
あらすじ
感想
『ナベちゃんのヨメ』で感じた相手の価値観を理解することの難しさ、『ママ・はは』で描かれた家庭でしか通用しないルールへの苦しみ、そして作品全体で描かれた何気ない言葉で誰かの日常を傷つけてしまうこと。
どの作品も非常にリアリティがあり、味わい深いエピソードばかりでした。
私は人と話すことは好きですが、一方で何気ない言葉で相手を傷つけることが怖くて誰かとの会話を自ら避けてしまうことがあります。なので作中で描かれた会話に潜む「毒」には共感しかなかったです。
また結構ホラー寄りの話が多かったのも意外でした。『ママ・はは』の1枚の写真によってスミちゃんの周りの人間関係が改変されてしまうくだりとか読んでいて驚きました。また解説では今作を過去にした会話から生まれた「怪談」であると述べていた箇所があり、「なるほどな〜」と思いました。
『パッとしない子』の佑、『早穂とゆかり』のゆかり。2人は登場人物が過去に吐いた何気ない「会話」にずっと苦しめられていて、この世で本当に恐ろしいものは死んだ人間よりも生きている人間が放つ「言葉」なのかもしれないとゾッとした作品でもありました。
今作は日常会話に潜む毒への共感だけでなく、各話の登場人物たちが選んだ行動は本当にこれで正しかったのか?と読後もいろいろ考えさせられる物語だと思いました。またいつか読み返して、正直今回読んだ時には難しかった問題への答えを紐解けたらいいなと思います。
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