カナシミ水族館(NetGalley より)
夕瀬ひすいさんの『カナシミ水族館』という作品をNetGalleyにて読みました。ことのは文庫より来月刊行予定の作品です。
物語は身近な人間関係に悩みを抱えている主人公・律が、「カナシミ水族館」という不思議な空間に誘われるところから始まります。カナシミ水族館には年齢もバラバラで個性的な4人のスタッフがいて、律は彼らから「悲しみ」と向き合うために大切なことを学びます。
律も苦しんでいる人付き合いの難しさ、嫌でも耳に入ってくる暗い話題など、世の中は常に悲しい出来事に溢れています。今作では律の冒険を通して、読者にも突然訪れる悲しい気持ちを乗り越えるためのヒントを教えてくれました。
悲しいことを経験し、乗り越えていくことで人は強くなれるという今作の大きなメッセージは私の心にも響き、悲しい出来事に直面した時にこの物語のことを思い出せたらいいなと思いました。
また世界観もとても幻想的で、実際に律と一緒に水族館内を歩き、心が浄化されるかのような感覚を読んでいて味わうことができました。水族館にいるイルカやクラゲ、いろんな種類の魚たちといった生き物たちも印象強く描かれているほか、律の成長のカギとなる4人のスタッフたちの存在も魅力的でした。
スタッフたちは優しく、時には厳しく律の悲しみを乗り越えるためのサポートをしてくれました。また中には律と一緒に苦手だったことを乗り越えたスタッフもいました。それぞれ異なるシチュエーションで描かれる4人のスタッフと律の交流の様子は、読む人によって心を掴まれるシーンが変わってくるような予感がしました。
書籍が発売されたらまたじっくり読もうかと思います。
今回の本
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