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漫画感想文「ガラスの仮面」37巻 美内すずえ(花とゆめCOMICS)
この巻は、感情がたかぶって、思いを言葉に落ち着かせるのに時間がかかります。
全巻から引き続き、マヤと真澄二人の雨宿り。
マヤはついに真澄への思いを自覚します。
夜が明けるまで、マヤの視点に寄った描写でシーンが進みます。
マヤの自覚と思い、真澄の女優マヤへの思い、真澄の見合い相手・紫織さんの存在、けれど薪がなくなり温めあって眠る……。
一連のシーンの中に心の浮き沈みが激しいです。わたし的には最初のほうの、
真澄「あいにくだが今夜はその冷血漢とふたりでここに籠城してもらうぞ いやだと言っても山道で遭難するよりはましだろう」
マヤ「はい… 速水さん…」
真澄(マヤの返事に振り返る)
真澄「今夜はまたえらく素直じゃないか」
「どういう風のふきまわしだチビちゃん」
「いつもは顔もみたくないって騒ぎたてるくせに」
(椅子の背に肘を乗せ、もう片方の手は腰に当てている)
真澄「けっこうだ」
「おれもきみといる方が退屈しなくてすむ」
(上から目線の澄まし顔)
マヤ・モノローグ「ああ…!そうだ このひとはいつもこうやって本心をかくしてきたんだ…!」
というところの本心を隠す真澄、とくに「けっこうだ」のコマの真澄に、甘い気持ちと痛みを感じます。
夜が明けたあとのだめ押しのキスシーンの、1ページまるまる使ったコマが、完成されています。
二人の顔の位置(構図)、線の太さのメリハリ、繊細な体の角度・形。いつまでも鑑賞できます。
「夢はもう終わりだ…」というモノローグのフキダシとその右上のキラリンという星も少女漫画らしくてすてきです。