【夏夜雨】

雨は優しい、

私にはそう思えた。


こぼした雫も洗い流してくれるから。

濁った気持ちが溢れても、

誰にも気づかれないよう隠してくれるから。


上手く笑えなくて不細工な顔が映る

地面も歪んでいる。


まだ止まないでいて

見上げた空に、そう願った。

このまま全て拭いさって欲しいの、

と。

呆れるほどに、見事に落ちていた。

それは、

恋、

というものだった。

確かに、

紛れもなく。

痛くて苦しくて、

悲しい匂いのする。



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