強制されると歪み出す ぐにゅっと曲がって ぐにゃりと捻れる 缶のペンケース並べて出来たのは カラフルPOPなCDジャケ 頭の中では鳴り止まない ざんざんざか ざかざんざかざ 五月蝿い 五月蝿い 言葉の洪水 生まれて光って流されて 消えて去って 最後は綺麗に忘れてしまう 後にも先にも残らずに
あなたは貴方で、 今の貴方を愛して貰えばいい 私はあの日々とあなたを愛するから 永遠などないのなら私、 初めから何を抱きしめていたの どこにも無いもの誰の目にも見えないもの それだけが欲しい 今となってはもう 影も形も消え去って ゆらゆら揺れているの カーテンの裾切れだけが 頼りなく 早咲きの大輪は 瞬きする間さえ 待たずして散りゆく 欲しいのは 私だけの特別だけだった この世界でただひとつの 光さえ目を閉じたままで 重なり合うようにして 手をとりあえば あとはもう、
いつだって、 哀しみや儚さの灯る場所で生きている。 壊れそうに脆いけれど、 それでもなんとか立ってるの。 頼りない足で、 折れそうな心で。 小さく、 小さくなって。 震える身体を抱きしめるようにして。
この深くて真っ黒で歪すぎるほどの塊を分かってくれる人。 そして、それを遥かに超越するほどの光を放つ人。 分かってないフリをして本質的な部分では理解していて、 私の中のそいつを無理に消し去ろうとしないで、 上手に、絶妙な加減で、普段は笑って生きられるけど、 心根には重たさが潜んでいてたまに顔を出すくらいに残していて、 そのたびに大丈夫だよって抱きしめてくれる人。 そんなことを何度繰り返してもめんどくさくなったり、疲れたり、おかしくなったりしない人。 そんな人でな
なぜ、 人はひとつの人生しか生きられないのだろう。 選べないよ。 ひとつだけなんて。 たった1回の命なのに。 もっともっといろんな道を歩いてみたい。 馬鹿らしくっても、 死に物狂いでも、 知らないフリしてまた繰り返したいの。 哀しみに満たされても、 雨降りばかりでも、 それでも知らないフリしてまた繰り返すの。 変な顔で笑って。 カッコ悪い歩き方で。 そんな風に、 何度も何度も味わえたらよかったのに。
夜明けの光景が好き。 この世界で最も美しいものの1つだと思うから。 一瞬として同じ色はない。 あっという間に移り変わっていく。 くるくる変わる感情のように ぐるぐる巡る季節のように。 いろんな表情(かお)を見せるたび、 すっかりあっさり消えていく。 いよいよ鳥たちが鳴き始めた。 空気が一気に入れ替わる。 そしてまた、今日のはじまり。
気持ち悪く剥けた皮のかたち。 無理やり端から引っ張ったら、 もっと大きく広がって、 みっともない感じになった。 確か前にもこんなことがあった気がする。 もう、 うまく上がらない瞼に抗いながら、 モノクロの裾野をぼーっと見つめてた。 なんか、いやな感じだ。 明日は、晴れるだろうか。 そんな願いを他所に、 窓の外では雨の音が続いている。
決して自分のものにはしない。 いつも無にしておくの。 決まり事以外は常に曖昧なものとして。 それがあなたのやり方だから。 眠たい。 とても、眠たい。 ここはどこなんだろう。 私は誰でしょうか。 手を伸ばせば届くだけの距離すらも億劫で、はるか遠くに感じる。 あなたが何度愛してると言っても、 あなたがどれほどきつく抱きしめても、 ほんとの私には辿り着けない。 私はひとり落ちていく。 光も届かぬ海の底。 私はひとり落ちていく。 計り知れない暗い闇。
濡れたまつ毛、撫でてみる。 そっと指先でなぞってみる。 そしたら、何か分かるような気がして。
昔々、あるところに女と男がいました。 恋人ではありませんでした。 ましてや、夫婦でもありませんでした。 では、ただの友人か、 と聞かれると、 そうでもありませんでした。 彼らは、いつだって2人きり。 この世界にたった2人。 名前はつけないことにしました。 女が女でいられるように。 男が男でいるために。 そうしていたら、歳をとりました。 知らないうちに、時が過ぎていました。 いつの間にか、女と男は居なくなっていました。
どこか欠落している、私たちの日々。 不細工で不器用で可哀想な。 一緒にいるために、そうやって互いにバランスをとっている。 同じだけの後ろめたさを背負って隠して。 そんな方法しかなくたって、君が笑ってくれるなら。 それでもう、全部よくなる気がした。 言い訳じみた見え見えのエセポジティブシンキング。 それでも君がこの部屋に帰って来てくれるなら。 それでもう、全部よくなる気がした。
心が空っぽみたいで、苦しい。 何を見ても何を食べても嬉しくない。 些細な幸せも感じ取れないほど、疲れてしまったのか。 こうなったら、眠ろう。 きっと、それしかない。 できるだけ眠って、この世界から遠いところに居られるように。 過ぎていく時間も光景も見ないようにして、私とは関係ないこととして。 ただもう、消費するだけの日々。 哀しみも幸福も憎しみも全て置いてけぼりのまま、私は1人蹲る。 ひとりぼっち、小さく丸まっている。
ごくたまに思い出すことがある。 高校生の頃、委員会が同じで少しだけ会話を交わすくらいだったあの子。 よく図書室にいたなあ。休み時間には、だいたいいつも見かけていた気がする。 みんな彼女とはあまり関わろうとしなかった、なんか変だったから。 異質な存在は学校という場所では忌み嫌われ、無条件に隔離される。 だから、みんなには視界の端でそれとなく捉えられた風景の一部に過ぎなかったのだろう。 曖昧な記憶の中で彼女の背中は少しだけ薄れそうな、でも、確かにそこに存在していた。
かび臭いにおいが染み付いて離れない。 心にできたシミみたいに。 落とそうと必死に擦ってもそれは広がるばかりで。 もう、大丈夫。きっと、大丈夫。 何度もいいきかせては虚しくなるだけ。 辿るあなたの面影に思いを馳せて。 あの日の私はどんな風に映るの。 あなたにとってはどうでもいいこと。 けれども、私は想っていました。 健気に、あなたを慕っていました。 咲かないことを知りながら。
その大きな背中がすき。 頬をぴったりくっつけてあなたの体温を感じる。そしたら、ちゃんと、あぁ生きてる、ここにあるのは人の形をした物体なんかじゃなくて、あなたなんだなって思えるから。 めいっぱい柔らかくした想いが伝わるように、唇を優しく這わせる。 くすぐったいと笑う頭の後ろがとても愛しい。 あなたには、たくさんの歴史があって、 きっと私もその1人。 だけど、今この瞬間だけは私のもの。 私だけの特別。 いつまでも独り占めしていたい、 広くて狭いあなたの背中。
表層的な言葉や音が溢れかえる世界。 その片隅で、 誰にも知られずとも 生まれては消える素晴らしきものたち。 私は少しばかり哀しくなる、 あまりにも憐れだと。 彼らはまだ気づけない、 計り知れないその可能性に 私だけが知る、 その真価に。