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本屋で本を選んでいる瞬間が好きだ


本屋で本を選んでいる瞬間が好きだ。
本屋にいる時間は、自分の人生の中でトップクラスに幸福度の高い時間なんじゃないかと思う。

その日の予算にあわせてどの本を買うかあの本を諦めるか、何度も本棚を行き来する時間が好きだ。
目的もなくふらっと立ち寄り、ただ新刊や文庫棚を眺めている時間が好きだ。
今日は買わないと決めていたのに、どうしても欲しい本に出会って何度もその本を開いてしまう時間が好きだ。


世の中の読書家たちと比較して、わたしはそこまで多くの本を読むタイプではない自覚がある。図書館に通う本好きな子どもではあったけれど、テンプレートのように社会人になってから読書量が減った。多くのお金と場所を本にかけられるわけじゃない。そのわりに積読も多い。だからこそ本屋ではいつも悩む。

子どもの頃もそうだった。本を一冊選んでいいよと言われた日は、時間の限界がくるまで本屋で悩んでいた。大事な一冊を決めるその時間が楽しかった。もちろん買ってもらう予定がなくても、本屋で過ごす時間が好きだった。

今も本屋で悩む時間が好きだ。読む時間も余裕もないとわかっていても、それでも本屋で本を選んでいる時間が好きだ。

もちろん本を読んでいる時間も好きだ。
でももしかしたら、この本は特別な時間をくれるかもしれないと、本を選んでいる時間の方が自分にとって幸福度が高い気がしている。
旅行は計画している時こそ楽しい、という感覚と似ているのかもしれない。元々旅行は苦手だから想像でしかないけれど。


大人になり荷物も増え、心の動きづらさを知るけれど、本屋にいる時間はこれから先も幸福を感じられるかもしれない。本屋から帰宅してふと、そんなことを思った。

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