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ハン・ガン著「すべての、白いものたちの」の紙について考える
ノーベル文学賞を受賞されたハン・ガンさんの著書を読みたい、と思った。純粋にただ、内容がおもしろそうだと思ったから。
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図書館で本を予約し、借りる。本をよく見ると、紙の色が違う。なぜだろう?タイトルや内容と、関係があるのだろうか。
紙の色をはっきり見たいと思い、外で読んでみることにした。空の青さと、芝生の上が気持ちいい。緑色の上で、本の白さがより際立って見えた。
本を開く。パラパラとめくる。紙の色や材質が、一定のページごとに異なる。白っぽい白、黄色っぽい、白。粗い感じの紙。きめの細かい、紙。しおりとなる紐は、光沢のある白だ。
早速、読んでみる。その日は晴れていて、生暖かい風が吹いており、気持ちいい。フォントの形や大きさ、余白が好きな感じ。いつもなら、ここが嫌でやめてしまうこともある。これらが大きすぎても、小さすぎても、結局内容を読んでも、自分と合わないのだ。
胸がきゅっとなるような、悲しい話がいくつもあった。小さい話が一つ一つ違うようで、つながっている。「白」を通じてまとまって、一冊の本になっている。それは、静謐なひとときだった。
この本は、本でなければだめだと思う。目で見て、手でさわって、感触を確かめる。そして、文字を追う。さらに、内容を深くまで読み込んで、静かにかみしめる。そういう本だ。そういうふうに、本を読んだことは今まで一度もなかった。
さて、本の紙の色について。これは本文中にも出てくる「乳」の色ではないかと、思う。母乳の色は、粉ミルクのように、ずっと同じ色ではない。乳でもあり、本文中ほかにも出てくるいろんな「白」を表現しているのだと思う。
内容だけでなく、よくできているな、と感心してしまった。他国バージョンも同じつくりなのだろうか。芝生の上で、本で使われている紙について考えをめぐらせた一日だった。