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agariパフェ日記12:苦味は最高のうまみ!「金柑と晩白柚のパフェ」
2025年が明けて1月12日からagari で新しいパフェが始まりました。
今回は『苦味』がテーマ。
え?と思うかもしれませんが、食べてみたら感動すること間違いなし。様々な苦味が重なって、おいしさに変わっていく魔法のようなパフェなのです。
主役のフルーツは金柑と晩白柚。
どちらも、agariのスイーツセラピストであるジョナさんの出身地・熊本の名産。
だからでしょうか、フルーツを見るジョナさんの眼差しがいつにも増して輝いています。
金柑ってこんなにおいしいんだ!という発見も
こんなに見事な主役になるんだ!という驚きも
そもそも晩白柚ってなんなの?という疑問も
全部ひっくるめて楽しめますよ。
百聞は一見にしかず。早速食べていきましょう。
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登場した瞬間に「うわぁ」と声をあげてしまう華やかなビジュアル。
ジョナさん曰く、苦味つながりで『ふきのとう』をイメージしたのだとか。でも、模しているのは味ではなく、あくまで見た目。
中央で肩を寄せ合うふきのとうと、その周りを囲む大きな葉っぱをトップ部分で表現しています。
てっぺんは まん丸なフレッシュ金柑
まずは金柑をいただきましょう。
まぁ、これの甘いことといったら。濃厚な甘みが口中に広がります。
外の皮は弾力があるのに柔らかい。最初にほんのり苦味を感じるけど、かめばかむほど甘酸っぱさがじわじわと広がります。鼻に抜ける爽やかな香りがもう最高。
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ジョナさんが愛するこの金柑は、熊本・ハナウタカジツさんのもの。
正直言うと、ハナウタさんの金柑を食べるまで、金柑の魅力を知らなかった私。どこかで金柑スイーツを見かけても、華麗にスルーしていました。いや、スルーしていたかもわからないほど、注目していなかった。
でも、私はもう昔の私じゃない。近所の木にたわわになる金柑も、スーパーに陳列された金柑も、くまなく愛でていますから。
山型に盛られたキャラメル生クリームに、輪切りの金柑やローズマリーが飾られています。ローズマリーの緑には春の息吹すら感じます。
毎度のことながら、生クリームが素晴らしい。
自家製の晩白柚ピール入りなんです。
生クリームを語る前に、まずは ”晩白柚とはなんぞや” を。
晩白柚ってこんなにすごい
見た目はグレープフルーツに似ているけど、サイズは一回りも二回りも大きい。赤ちゃんの頭ぐらい、もしくはそれ以上かもしれません。
このパフェでは、晩白柚を薄切りにしたものを、ふきのとうの葉っぱに見立てて並べています。
薄くて黄色い外皮、その中に分厚いワタがあって、中央に果肉。
白い部分が全部ワタです。ワタがどれだけの比率を占めるか、写真からお分かりいただけますか。
このパフェでは、晩白柚を1枚ずつ抜きながら果肉を食べてくださいね。
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大きいって言うけど食べるところが少ないじゃん!と思うことなかれ。
何がすごいって、晩白柚は果肉だけでなく皮もワタも!すべてが食べられるのです。
果肉は、グレープフルーツのように薄皮をむいて生のまま。粒が大きくプリッとジューシーで、かんだ瞬間に果汁がジュワッとあふれます。酸味や苦味は強くないのでとっても食べやすい。
ワタは砂糖漬けに、皮は細かく切ってジャムにされることが多いそう。
今回のパフェでも、皮を細かく切ってジャムにしています。ジャムを煮るときに果肉をたっぷり入れて、果汁を水の代わりにしているのが大きなポイント。皮も果肉も入った風味豊かな贅沢ジャムです。
これだけでも食べたいから瓶詰めして売ってくれないかしら。
長くなりましたが、キャラメル生クリームには、この晩白柚の皮のジャム(通称:晩白柚ピール)が入っているというわけなのです。
キャラメルの香ばしい苦味と晩白柚の爽やかな苦味。両者が合わさって、口の中で溶けていくのが至福のとき。クリーム単体で主役にもなれるし、フレッシュの金柑と食べて引き立て役にもなれるのがすごいところ。
思わぬ伏兵の登場
と、いきなり口の中に現れるのがワタの砂糖漬け。今回は、砂糖に漬けたものをさらに焼いているのだとか。小さく角切りされて、輪切り金柑とローズマリーの隙間に静かに潜んでいるのです。
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個人的にはこれが衝撃でした。見た目はグミみたい。でも食べるとグミとはちょっと違う。サクッとしているような、弾力があるような。ワタの隙間という隙間にすべての旨みを吸収しているからか、噛むたびにおいしさが放出されます。
これがジョナさんマジックにより、トップ部分からグラスの中まで、いろんなところに仕掛けられているのです。出会いたくても出会えない。それなのに、忘れた頃に現れて存在感を放っていく。
もてあそばれているのにどうしても憎めない、むしろ愛しくてたまらない存在です。
さぁ、いよいよグラスの中へ。
ここからさらに、様々な苦味が登場します。
苦味と甘みの祭典が本格化
金柑のコンポートとアールグレイのビーガンアイス。
紅茶の爽やかさと深い甘さのコンポートがよく合うこと。金柑の甘みとほんのりした苦味を紅茶がそっと包んでくれます。トップにあったローズマリーをパラパラとかけてみたら、それもおいしい。
すると突然何かが口の中へ。
「なにこれ、おいしい」
それがまたもや、ワタの砂糖漬け焼き!小さいのにやっぱり存在感がすごいです。おいし過ぎて、アイスにも合い過ぎて、もう一度いま会いたい!
でも、会いたいときにアナタはいない。
仕方がないので、きっとまたどこかで会えると信じて次へ進みます。
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次に出会ったのはバスクチーズケーキ。ここで濃厚なチーズケーキが出てくるなんてずるいなぁ。コクがあって甘みもある。それなのに、焦がした表面の香ばしいほろ苦さが、甘ったるさを感じさせない。なんてうまくできているのか。
しかも、途中で気づくのです。
「これは、ただのチーズケーキではない」と。
なんとまぁ、ここにも晩白柚ピールが混ざっていました。キャラメル生クリームもそうだけど、香ばしい苦みと爽やかな苦みってこんなにも合うものでしょうか。
いろんな苦味で、みんないい
フレッシュな金柑や晩白柚の果肉、金柑コンポートも待ち受けます。
ここにはどれだけの苦味が存在しているのか。
新鮮な果物が放つ爽やかな苦味も、煮込んだことで甘みと融合した苦味も、キャラメルみたいな香ばしい苦味も、皆が仲良く共存している。
苦味も甘みもグラデーションをなして、全てをおいしさに変えています。
すると、ローズマリーとヘーゼルナッツのクランブルが登場。クランブルのカリッと食感からあふれ出る、ローズマリーのキュッとした爽やかさ。これが新たな風を吹き込み、祭典で浮かれた気持ちを少しずつ落ち着かせてくれました。祭りも終わりが近いのかなぁと静かに感じてみたり。
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でも、ここで寂しくさせないのがアールグレイのゼリー。プルプルで軽やかなんだけど、底にある金柑のジャムの甘みが優しくて。幸せだった時間の余韻に浸らせてくれます。
まさに、苦味という新たな世界の扉を開けてくれたパフェでした。
苦味とは、不快なモノでも不協和音でもない。むしろ、旨みを形成するのに欠かせない要素。苦味と甘みが重なった時の喜びは、ただ甘いだけよりもずっと美しい。
金柑と晩白柚、ピンポン玉と赤ちゃんの頭ぐらい大きさの違う凸凹コンビ。どちらも魅力は無限大。
世の中の好きな果物ランキングだと、どちらも上位には入らなそう。だけど、このパフェを食べたら、その苦味も笑顔になって刻まれます。
苦味がもたらす魅惑の祭典、よろしければぜひ楽しんでくださいね。
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[Photo : Masayuki Nakano]
パフェバーagari
東京都渋谷区神宮前3-1−25 コーポ外苑サイド 1F
平日 13:00-20:00 (L.O 19:00)
土日祝 11:00-18:00 (L.O 17:00)
水木定休(時々不定休あり)
予約推奨、営業日時の詳細はinstagramにて
▶︎ instagram : parfaitbar_agari
▶︎予約 : tablecheck
*金柑と晩白柚のパフェ*
提供期間:2025/1/12-2/3
ハナウタカジツ
丸ごと種ごとキンカン