弱気ハンバーグ
この本を読み終わったら
秋が終わってしまうなあ
マナモは思う
ゆく秋を惜しみ
ゆっくり読むことにするか
早々に読み終え、さっさと
冬を招き入れてしまおうか
かさかさと音をさせ、落ち葉を
踏みしめて歩くのが好きなマナモにとって
なんとも悩ましいところ
あいかわらず魔法つかいに、なれないでいる
魔法つかいになんて、なれないんじゃないかなあ
マナモは思う、思いすぎて
おかしな弱気が増えてきている
そんな弱気をかたっぱしから集めて
さまざま、まぜこぜにしちゃって
なんやかやして、なんやかやしたら
ハンバーグくらいは、できちゃいそうだ
マナモのつくる毒りんごは
いぜんとして、いい売れ行き
そのわりに、毒りんごに関する
いい噂を聞くことがない
もしや
と、不安になる
悪い噂があるわけじゃあないんだし
少し、安心する
さっきまであった不安が
消えてしまうわけではない
けれど、そんな不安すら
人生を楽しむためのスパイスなんだよ
そう思えるほどに、いまのマナモは
たくさんのわくわくやうきうきに
とり囲まれている
魔法つかいのことは
あせらずやるかな
いつもの結論に達し
マナモは、本を閉じる