
#54生徒の成長に寄り添って
教師という立場にいると、本当に様々な子供たちと出会います。 中には想像をはるかに超える目覚ましい成長を遂げる生徒もいてたりします。
成長したといえば、1人の生徒を思い浮かびます(以下Aくん)。Aくんは入学当初、定期試験は5教科合計250点。可もなく不可もなく、平均的な生徒でした。ただ、他の生徒と違うところはとてつもなく真面目だったところです。でも効率がとても悪く、勉強方法をあまり理解していないような生徒でした。
そんなAくんに勉強法を教えたのが英語科の先生でした。その先生は特殊な先生で英語を教えるというよりかは勉強法をひたすら教える授業を展開していた先生でした。最初の4月はほぼほぼノートの書き方です。続いて5月はテスト対策といって記述問題の回答の仕方や問題文の読み方や進め方など、試験の点数の取り方や勉強の仕方などを徹底的に教えこます授業を展開していました。後にも先にもこんな先生出会ったことがありません。ちなみに私はT2でその先生の授業を2年間入っていましたが、全く英語がわからなかったのがとてもわかるようになりました。私も学生の頃、こんな先生と出会っていたらなと思えるほど素晴らしい先生だったと思います。
こんな先生に教えてもらいながら、勉強法について考え出したAくん。それでもなかなかわからなかったみたいなので、次の動きに乗り出しました。彼はどうしたかというと、いろんな先生に勉強法を聞きに回ったんです。
もちろん私のところにもやってきました。私は質より量のタイプなんですが、量をしている最中で一度考え込んでしまうと、次に進めなくなる傾向があり、学生の頃はそれで勉強を全くしなかった時期もありました。解決策はとにかく考えずに量をこなすこと。たったそれだけです。考え込んだら負け。たったそれだけです。そんなアドバイスをしながら教えた気がします。Aくんにとってためになったアドバイスかどうかは分かりませんが、一生懸命聞いてくれていたのを覚えています。
コツコツ頑張れる。Aくんは2学期の中間試験あたりからみるみる成長していきます。5教科合計250点だった彼は2年生の2学期には475点取るようになりました。衝撃的でした。そんな彼を見てこういう生徒が成長するんだなと思わされたんです。
1. 自らの意思で行動する
Aくんはとにかく自らの意思で行動するタイプでした。勉強法についても悩んでいると訴えてきたのは、Aくんでその悩みを解決するために積極的に質問しに行っていたのもAくんです。その行動をするきっかけとなったのは、英語の先生の授業だと言っていましたが、そこから先は彼の意思で動いています。またたくさんの意見を参考に自らの勉強法確立していき、形にしていったのも彼です。すべての行動を自らの意思で動いていたおかげであんなにも成長したのかなと思っています。
2.コツコツ取り組むことができる
やろうと思った事は、とにかくコツコツ取り組んでいたのがAくんでした。彼のノートはほんとにすごかったです。彼は計画を立ててくるんですが、その計画も10分刻みなんです。私には到底マネできません。1時間でも細かいのにと思う位なのに。また彼はその計画も、本当にコツコツコツコツ取り組んでいました。そして気になれば改善していました。こうしてコツコツ取り組むことで、トライ&エラーを繰り返す量が増え、洗練された取り組みに変わっていくのかなと感じました。最近は最短距離を目指して走る生徒が多いですが、それとはかけ離れた取り組みをしているのがAくんだと思います。でもそれだけ集中力を保ったまま取り組むことができる。Aくんは伸びて当然だったのかなと今となっては思っています。
3. 素直に受け入れることができる
最後にAくんはどんなアドバイスも素直に受け入れることができる力を持っていました。彼はいろんな先生に勉強法を聞きに行きます。聞きに行った後はその勉強法を実際に全て実践していたそうです。とりあえず素直に聞き入れてやってみることを体現していた人なんです。膨大な時間がかかったと思います。たいていの人は取り組む前に取捨選択をすると思います。でも彼はそんなことをせず、素直に聞いた内容を取り組んだみたいです。これが彼が成長した要因だと私は思っています。まずはとにかくやってみる。聞いた内容を素直に取り組んでみる。これができる彼はほんとに凄いと思います。
見習うべき点がたくさんある
Aくんの取り組み方は正直大人でも真似することが難しいと思います。見習うべき点がたくさんあると思います。でもそんな彼が成長したきっかけを作ったのも、また英語の先生と言うことを考えると、やはり生徒に寄り添うのはとても大切なのかなと改めて思いました。そしてこの職業の可能性をとても感じた生徒の1人だったと思います。私も英語科の先生のように、誰かに刺激を与えるようなそんな教師になりたいなと思って書きました。