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#56保護者に任すということ

私にはこうしたほうがいい、こうするべきだと思うものがたくさんあります。いわゆるこだわりが強い人なんだと思います。そんな私が失敗した経験を少し書こうと思います。

私は本当にこだわりが強い人です。特に仕事に関しては”ここは譲れない”と思ってやってしまうことが多くそれが自分だったり周りの人にだったりストレスを与えてしまう原因になる可能性もあると思いながらやっています。

私もだんだんと大人になってそのこだわりを捨てることもできるようになってきたんですが、生徒指導に関しては「これはダメだ」と思ってしまったら、最後まで指導しないといけないという気持ちになってしまい、つい熱が入ってしまいます。

そんな私ですが、もっと柔軟にならなければいけないと思わされた出来事がありました。

ある日のこと。生徒が相談に来ました。

友達とお金のことでトラブルになっています。どうしたらいいですか」

話を聞くと、もともと忘れ物が多かった彼女は相手の子に年間を通して色々なモノを借りていました。その相手の子に、ある日「レンタル代」ということで200円を請求されました。それ以降、モノは借りなかったんですが、そのレンタル代を払うことができず、放っておくとどんどんと利子がつくと言われ、気づけば10,000円になっていたと言うのです。

相手の子に話を聞くと、概ね事実で、利子については「なかなか払ってくれないから催促するために言った言葉で、本気で言ったとは思っていない。」ということでした。

この件についてはお金が絡んでいるので、保護者にその後は委ねようとしました。

すると相手の子の保護者は「娘と話し合った結果、お金の話も貸し借りの話も全てコミコミで、保護者監督のもと、これで終わりにしてほしい」という旨を伝えてきたんです。

相談してきたこの保護者にその連絡を入れると、「うちの子が悪いのが大前提だが、利子をつけるとか、悪質な行為ではないですか。それについてしっかり指導してもらったんですかね」と伝えてきたんです。

伝えたいこともわからないでもないんですが...私はこの件についてとても悩みました。

私が相手の子の保護者なら、先方に連絡を入れて謝罪をすると思いました。だから相談してきた保護者の気持ちもわからないこともないんですが、相談してきた保護者もその発言をする資格は無いので、これ以上言うと保護者間で喧嘩になるなとも思いました。

先輩先生に相談に行くと「保護者責任のもとで終わりにしてほしいということなんだから。それでいいんだよ。」そう教えてもらえました。

なぜかモヤモヤする…。私はなぜモヤモヤしているのか考えました。それは相手の子の保護者の動きが、私が想像していた動きと異なったからだったと思いました。でも保護者責任の元なので、保護者の動きを尊重して「自分の娘に向けてしっかりと指導してくださった」と思うべきなんです。私が想像していた絵の描き方とは違うんですが、それはただのおせっかいであって、任せたんだから、任せっぱなしでいいんだと言うことに気づきました。

これは私の心の中がとても成長した話です。私はどうしてもこだわりが強く、やると決めた事はやり切ってしまうタイプです。でも実際はそれがたったひとつの正解ではなく、正解というのは、様々な道があるということを理解しないといけないなということに気づかされたんです。もちろん相談してきたこの保護者にモヤモヤは残っているはずです。でもこれも正直その保護者が介入するべきではないんだと思います。そもそも自分の子にしっかり筆記用具を持たせる。忘れ物をさせないということを伝えることが大前提で、それ以上の事は必要ないんだと思います。介入しようと思った瞬間、それは相手の保護者の動きを否定することになり、衝突につながり対立が生じるからです。

この理解をするまでにいろんな先生と話をさせていただきました。その先生方の一つ一つの意見は、とても私の成長につながったと思ってます。この文章を読んで何か感じるきっかけになる人が1人でも多くいることを願っています。

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