庭を作る│素人夫婦が斜面庭を開拓して分かったこと
こんにちは、Asamiです。
このところ製作の仕事がとても立て込んで、noteを書くはおろか読む時間さえなく
「あれ?私の10月後半から11月前半はどこに消えた…?」
と記憶喪失ぎみになっております。
ここからは前回前々回に紹介した私たち夫婦がDIYしている斜面の庭について綴ろうと思います。
私たちが斜面庭を作り始めた時、平地のお庭作りの情報しかなくて色々と困ったこともありました。そしてまだまだ未完成で分からないことだらけの過渡期でもあります。
だから私たちのトライアンドエラーの記録を通じて、これから斜面地にお家を建てたり庭作りを計画しておられる方のお役に立てればと思っています。
わりと大作になってしまったので、目次から必要なところだけつまみ読みして下さっても良いかも。
DIY庭づくりを始めたきっかけ
大抵の人が自転車で登り切るのを諦める、急な坂の上に建つ我が家。
その坂から連なる我が家の土地も、当然のように3分の1くらいは急斜面になっています。
自宅を建てるにあたっていくつものハウスメーカーに相談しましたが、大手はどこも大掛かりな土留め工事を勧めてきます。
大概は「道路に面した南東の坂を大きく削り取り、垂直のコンクリート塀でしっかりと土留めをし、平坦になった部分をコンクリートで仕上げて駐車場にしませんか?」という提案だったのですが、いかんせん工事費用が高くつく。
それに道路に面した南側部分が駐車場になってしまうのも少し寂しい。実用性がとても高いのは分かるけど…
そう考えて、費用が足りないのなら自分たちで斜面の庭を作ろう!と計画し、入居後早速庭づくりを始めました。でもいざやり始めたら、思った以上に問題は山積み。
そこから私たちの試行錯誤が始まりました。
急斜面立っていられない│スパイクを履こう
坂が急すぎて、植付け時にも立っていられない。穴を掘るにもスパイクを履いて膝をつかないとできません。
急斜面の庭づくりを考えておられる方にはスパイク、必須アイテムかもしれません。
因みに、金属製のスパイクだと踏み付け可能なグランドカバーでも流石に傷んでしまうので、ソール一体型の優しめのスパイクの方が良いかと思います。
岩を運ぶ際などの指詰め防止のためにも、スパイク付きの安全靴だと更に良さそうです。
そんな感じなので剪定作業や草むしりもちょっと大変。
我が家では下草として宿根草などを沢山植えすぎているせいもあるかもしれないのですが踏んで大丈夫な場所が少なくて、作業中に足場を踏み換えるにも毎回「さぁ次はどこに足を置こうか」とルートを脳内で考えてから動いています。
山で林業の作業をされている方たちは間伐する時どうやって体勢をキープしておられるんだろう?日頃の仕事で培ったバランス感覚や安全確保の技術をお持ちなんだろうなぁと、ささやかな斜面庭に四苦八苦しながらプロの技術に感服しています。
土質問題│年数をかけて改善中
土が斜面から流出しないよう、最低限の土留め工事は門柱と階段等と合わせて外注しました。
元々崩れていた斜面に砂と粘土質の土と岩などを足し、重機でグイグイ固める。
そうして水はけが悪く水持ちが悪い、雑草しか育たない斜面の完成です。
この土が本当に植物の生育に合わず…当初甘くみていた為、果樹も宿根草もなかなか育たず枯れるものも多かったです。
そこで2年目に入り地道な土質改善に着手。
1年目に植え付けた植物と、もはやグランドカバーと化していた雑草・鬼芝の根のお陰で当初よりも斜面が崩壊しにくくなってきたことを確認してから、2年目からは植え付け穴を1年目よりも大きくとり培養土を多めに入れ、掘り起こしていない部分にも培養土や土壌改良材を撒くようにしてみました。
それが功を奏したのか、少しずつ植物の発育も良くなってきています。
でもまだまだこれから…!ミミズが沢山いるような、健康な土壌を目指します。
コンポストで堆肥作りにも励んでいます。夫の一大プロジェクトです。
当初米ぬかや自宅の土に野菜を混ぜ込んでいましたが微生物の量が少ないのか分解が進まず、庭師匠宅のコンポストを分けて頂いて再挑戦。
庭師匠のお宅にあったときは元気なミミズ達が中で沢山うねうねしていたのですが、我が家にて全滅…辛い。
コンポストの堆肥は、今後の土質改良に不可欠なので、地道にやっていこうと思います。
穴掘りは想像の3倍は大変│小さめの農具を使おう
前項でも紹介したとおり、土砂流出を少しでも抑えるため硬くかたく土が固められているので、植え付け穴を掘るにも一苦労です。
少し掘り進めれば大きな岩や瓦礫(これも土留めの為に混ぜ込まれている)に当たり、それが取り出せるまでは穴を掘り進めることも出来ません。果樹などは80×80cmくらいの穴を掘りたいので、一本果樹を植えるたびに大量の岩が出てきます。
余談ですが取り出した大きな岩は我が家ではオーパーツと呼び、なんちゃってドライガーデンにするために使っています。
話を戻して…穴を掘り起こす時、当初安易に「大きい穴を掘るなら大きいスコップが良いよね?」と大きいスコップを購入して作業に取り掛かりました。
ところが、大きいスコップは硬い地面に埋まった岩を取り出すのには全く向いておらず、一度何かに引っかかるとどんなに強く足で蹴り込もうとも全く掘り進められなくなってしまうのです。しかも大きいスコップは重いので、立っているだけで大変な斜面では取り回しがとにかく悪い!
試した結果、小さなスコップ・柄の短い鍬が膝をつき、岩を取り出しながら掘り進める穴掘りに最適だという結果になりました。
土砂流出│石、砂利、グランドカバーを活用
坂なのでどうしても上段の土が下段に流れていきます。
側溝に土砂がなるべく流れ込まないよう、側溝の手前にピンコロ石を並べ、その後ろ幅30cm×深さ30cmを掘って砂利を敷き詰め、土砂の溜まり場兼排水場を作りました。これも夫の一大プロジェクト。
しかしそれでも雨の日は土が流れます。
ピンコロ石の奥に作った砂利のエリアは、1年ともたずに土で埋もれてしまいました。
土砂の流出を抑えるためにも、やや過密気味に果樹・宿根草・ハーブなどを植え付けています。
入居時、夫は斜面に芝生を張りたいと言っていたのですが、斜面の芝刈りはすごく高難易度らしいとネットで調べて知ったのと、根付くまで芝生のシートや下に敷いた土が雨で下に流れてしまうので諦めました。
…でも今になってなんだかんだ言って芝生かその他のグランドカバーを敷き詰めるのもアリだったかもと思っています…斜面での果樹や宿根草の剪定作業も十分に大変だった…
乾燥│土質改善と高木の木陰を待つ
日当たりや土の質にもよると思うのですが、斜面は水切れしやすいなと実感しています。
年々土の質が変わって水持ちが良くなり、樹木が育って木陰が増えれば、それなりに水もちも良くなるかもしれませんが、現状とても水切れしやすいです。
通常平地の庭だと、「地植えして根付けば水やりは真夏以外ほとんど不要」と見かけますが、斜面庭だと冬場以外はほぼ毎日水やりが必要かと思います。
毎日水をやっても乾燥しやすく、紫陽花やヒューケラなど、過乾燥を嫌う植物は今のところどれも上手く育っていません。
その分、ローズマリーやラベンダーグロッソ、サルビア、セージはぐんぐん育ってくれています。
ローズマリー・ラベンダーグロッソ・サルビア・.セージは痩せた土地でも良く育つので、日陰の無い斜面で土質改善もまだ進んでいないのであれば、このあたりを植えるのがおすすめかと思います。
強風│植え付け前に風向きを読もう
斜面では平地より明らかに強い風が毎日吹きます。特に冬は実際の気温より数度低い体感になります。
それによって、耐寒性がそこまで強くない植物は常緑であっても葉をかなり落としてしまいます。
私の住んでいる大阪では冬場一番冷え込んでも−2℃くらいなのですが、風の強い斜面地で越冬させようと思ったら耐寒性−10℃くらいはある植物を選んだ方が安全かと思います。
また、強風の影響でこぼれ種が広範囲まで飛び過ぎるのも気になります。
スティパ・エンジェルヘアーはサラサラロングヘアが魅力的なグラスなのですが、こぼれ種の発芽率がとても高く、風で飛ばされるのもあってか庭のあちらこちらで増えています。自宅だけならまだしも、近隣に広がってもまずいしなぁ…と処分も視野に入れて検討中です。
また、幼木の間は添え木が必要かと思いますが、設置の際には事前に風向きを調べて置くことをおすすめします。
特に新枝がしなりやすいオリーブやミツバハマゴウパープレアは、風に吹かれて寝癖がついたまま戻らなくなってしまうので、しっかりと固定した方が良さそうです。
逆に枝が元々しっかりしている柑橘類・西洋ニンジンボク・サルスベリは強風でも負けず真っすぐに育ってくれています。
日差し│エリアごとに日照時間を観察
斜面では隣地の建物と高低差があるため、ほぼ1日中日陰ができないことも多いです。
我が家では東側の前庭〜南側にかけて日陰ができないエリアがあります。
斜面ゆえの水切れのしやすさと合わせて、1日中フルで日向なので、乾燥の苦手な植物は本当にきつそうにしています。
品種説明を見て、『日陰でも可』と書いてある植物は大体育たないので、紫陽花やカラーリーフが可愛いヒューケラなどは追々オリーブなどの高木が大きくなって木陰が出来た頃に再チャレンジしてみようかと思っています。
雑草との戦い│もはや雑草は友だった
斜面の土留めがまだ上手くいっていなかった頃(※今もまだ完璧ではない)、土質も悪く雑草だけがぐんぐん育っていました。
そんな中、「発想の転換だ!」と雑草の鬼芝だけを選んで残し、なんちゃって芝生にしてグランドカバー代わりにしていました。
2年目に入り、東側は宿根草たちがかなり育ってきたため、雑草根絶を目指して鬼芝に対しても本気の草むしりを始動。
それでもまだ南側のエリアは鬼芝に頼り気味です。
毎日草むしり出来るわけではないので、根絶には当面かかりそうですが、冬の間に大方を抜き、春にはグランドカバープランツを沢山植え付けたいと思っています。
最適な植物を探す│ハーブはタフである
痩せた土地の強い味方、ハーブ。
大学時代にマルタ島へ旅行に行った時、野生化したハーブを見て
「素敵ー!ハーブって繊細なイメージだったけど、やっぱりヨーロッパの気候風土が合うからこんなに勝手に育つのかな?」
と考えていたのですが、ハーブの強さは日本でも発揮されるようです。
先述のローズマリー・ラベンダーグロッソ・セージ・サルビアの他にローマンカモミール・クリーピングタイム・フェンネルなども植え付けています。
中でも特にこれから増やそうと思っているのが、クリーピングタイムとローマンカモミール。
鬼芝からの完全卒業を目指すため、グランドカバーの最適種を選ぼうと、様々なグランドカバープランツを試験的にあちこちに植え付けていたのですが、この2つが我が家の環境では発育が素晴らしいと感じました。
葉の密集度
地面への貼り付き
踏み付け耐性
耐暑性・耐乾燥
発育スピード
病害虫耐性
どれをとっても素晴らしいし、香りも花も楽しめます。
本当に頼りになる、ハーブたち。これからもよろしく頼む。
大変だった│それでもやっぱりやってて良かった
結構な長文になりましたが、以上が約1年半斜面庭づくりに夫婦で取り組んだ結果分かってきた内容です。
正直共働きでチャレンジするには少し難易度が高く、思うようにいかずに色々と悩むこともありましたが、やっぱりやってて良かったというのが私たち夫婦の感想です。
やっとこさ雑草に頼らず土留め出来てきた我が家の庭ですが、これからもどんどん進化させていきたいです。
長々と読んでいただきありがとうございました。
ではまたね。