『恋切』

好きになったのは、俺の方が先だった。

図書館で過ごす彼女を、ずっと眺めていた。

それなのに、ある時から彼女の隣に男が現れた。

彼女の頭を優しく撫でる、仲睦まじい二人。

落とした本を拾った縁だと、男は笑って言った。

俺の双子の兄貴。お前には本当に敵わない。

だけど、好きになったのは俺の方が先なんだよ。

その日、兄貴のフリをして彼女と手を繋いだ。

「同じだね。顔も声も。だけど、手を繋ぐのは

私からって決めてたの。お兄さんはどこ?」


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