『黒懲』
「あなたが落としたのは、金の斧?銀の斧?」
「どちらでもなく、鉄の斧です」
「正直で素敵ですね。全ての斧を差し上げます」
偶然、見てしまった。俺も全ての斧が欲しい。
「あなたが落としたのは、金の斧?銀の斧?」
「両方の斧です」「残念。あなたには黒の斧ね」
「え?黒?いやいや、金と銀の斧ですよ」
「いいえ、黒です」そう言って男に斧を投げた。
首に刺さった斧は赤くなり、やがて黒くなった。
「どんどん濃くなる黒。人間の狡さと欲の色ね」
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