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#詩のような散文

世界は実在しないので

世界は実在しないので

夢の砂粒を拾う左手の
だんだんと痙攣していく様
繊細でまばらな睫毛
それすら情報の塊でしかない
あなたは存在しないかもしれない
渇いた唇と真っ直ぐな髪を
触れる左手は
やはり予測された世界モデルなのかもしれない
それでも錯覚できる
事実かどうかよりも
錯覚できることが重要なので
その為にここに来たので
透明なあなたに甘んじている

詩) 地球

詩) 地球

陽炎の涙の跡を
歩く砂漠の民よ
梅へ沈んだ
遺恨を背負い
デコイへ魅せられて
箱庭で踊る
愛という偽りで満たしているのに

悪夢を見ないために

悪夢を見ないために

君の神がいるタイミングを見失って
僕の手がいつまでも白くならなくて
抜けるような白さの君が羨ましくて
水彩画を描いているよ
湯気のように意識がふわふわと光に向かうけれど
会いたい人は会いに来てくれないし
僕の手は老いていくだけなのだ
獏が死んだら僕の悪夢の行き場がないよ
眠らない夜には君を思い出すから
もう終わりにするからさ
早く迎えに来てと呟くんだ
返事はいつも来ないのだけれど

肉体は遺灰に

肉体は遺灰に

川底の僕を見ているのは既に亡くなったあなた
だったりする?
そこは宇宙の上の上だよね
文字通り切り離されて手も届かないどんな姿かな
僕の記憶の中の
あなたの肉体はもう燃えて無いけれど
あなたの骨格や組織、皮膚の質感
僕を見る瞳
声帯を
なんで燃やしてしまったのだろう
灰になる45分前の頬に触れたよ
この世の身体はこの世限りだ
全部すくって取っておきたかった
触れて
その手で触れて
拍動と血脈を持っ

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魂の旅

魂の旅

真っ白ぬくもりアンモナイトの仲間
魂の行く先と還る道
遠くへ行きすぎて還り道も分からない
反対のベクトルへ向かない
旅に出るとは聞こえがいいけれど
片道切符を持たされたのだ
振り返っても暗闇しかない
私は大いなるものの一部だったのに
羊の綿に包まれた
微睡みで記憶を曖昧にされた
愛は消え心は空洞になった
剥がれ落ちていく
流星のように
私は大いなるものだったのに
小さく小さくなって
自分も分からな

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声を思い出したよ

声を思い出したよ

母の声がして
母に似た姿が見えた
それまで母の声を忘れていた自分に気がついた
お母さんが帰ってきた
と思ったのに
お母さんが帰ってきたらいいのに
と思った
完璧に現実だと思って掃除機を隅々まで、ほんとに隅々までかけていたのに
この世界は夢だなと気づく
せっかく一生懸命掃除したのに
覚めた視界がまだ波打っていた
父が母に会えたかしら
この世界では2度と元気な母に会えない
会えない
帰らないんだよ

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