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心身の弱い文系学者の毎日(1)
大変マッチョな研究機関に、ひっそりと生息する女性×発達障害×精神疾患の教授職です。産業医助言のもとにオープン就労しています。心身虚弱なわたしの毎日についてすこし書いてみようと思います。今回は毎日の過ごしかたについて、次回は専門家から受けているサポートについてです。
できるだけ人に会わない
発達障害(ASD+ADHD)、PTSD+複雑性PTSDの診断がついており、自覚症状としては、感覚過敏や過覚醒のために、人に会うととても疲れます。人には興味があるし、人が好きだなって思うこともあるのですが、対人接触が続くと疲弊してしまい、電池切れのように動けなくなってしまいがちなため、できるだけ人に会わないですごすようにしています。授業数の最小化、学会等は招待以外行かない、懇親会も行かない。ただし、会いたいという気持ちが強いときは対策しながら行きます。移動中は耳栓やサングラスや頓服薬で防御。時間が早かったり遅かったりするときは、近くのホテルに前泊や後泊をして、ゆっくり動きます。
職場まで歩いていける距離に住む
電車に乗ることに対する緊張や不安があまりにも強く、がんばって電車で通ったときに体調不良に悩まされてきたことから、キャリア初期(助教クラス)から現在まで、職場まで歩いていけるところに住んでいます。海外留学や出張時も同様にします。わたしにとっては収入のかなりの部分を費やすことになるので貯金ができないというマイナス面があります。が、それでも、自宅と職場を歩いて往復できるということのメリットは計り知れず、わたしの場合はこれでよしとしています。あと、居住空間は小さめ、持ち物も少なめにして、体力の消耗をおさえています。
日常をルーティーン化しておく
自分で何かを決めるのが苦手だったり、気が散りやすかったりするので、生活のなかで考えなくてよいことは考えなくてすむように整えています。そのひとつが緩やかな時間管理です。5時ごろおきて7時まで仕事、朝食、出勤して8時半ごろから11時半くらいまで仕事、早めにランチ&お昼寝、13時半ごろから16時ごろまで仕事、場所をかえてカフェで18時まで仕事というふうに。裁量労働制なのであいだに運動や買い物にいくこともあり、週6日このルーティーンを組んでいます。日曜休み。どの日も19時以降は本を読まないようにし、できるだけダラダラ過ごします。
ごはんを時間でしっかり食べる
高校時代以来、摂食障害もちです。症状がでたり、寛解したりを繰り返し、ここ3年くらいは寛解しています。ちょっとしたことで症状がではじめ、そこから急激に症状が進んでしまうことがあり、そうなると心身がたがたになり、病気休暇などにおいこまれることもあります。そうなるとつらいので、いまのわたしの場合は、ルーティーンを好む自分自身の発達特性を利用して、「時間を決めて食事をとる」ようにしています。こだわりが強くて食べられないものもありますが(米やパンなど)、食べられるものを食べて、自分を飢えさせないようにしています。
スケジュールフリーの日をつくる
わたしの場合、ルーティーンも生真面目に守りすぎると度を越して強迫的になってしまうので、少なくとも週1日(日曜日)、そして2、3ヶ月に1回は3日間ほどスケジュールをまったく立てないで過ごすようにしています。ふだんは多動で過活動になりやすいため、できるだけ何もしないように、というか、なにか目的をもって行動しないように、ぼーっと、ふわあっと、すごします。ゆるゆるの可愛らしいワンピースを着て、こぶりのバッグをもって、ご近所のカフェに遅めのランチを食べにいって、お店の人がすすめてくれるお酒を飲んだりするのが好きです。
戦わない、「マッチョワールド」から降りる
キャリアステージもミドル後半というかシニアというか、そういうところにきているし、もうハッスルしないし、戦わないし、「マッチョワールド」から降りること。わたしにとっては、これがいちばん大切にしていることかもしれません。マッチョすぎる職場環境に置かれているので、その環境に「適応」しようとするとしぜんにマッチョになってしまいがちですが、そこをこらえて、戦いたくない、戦えない、そういう自分に自分自身が居場所を作ってあげること。
わたしは、もともといまの職場でいちばん仲良くしたいなとおもってきたのは、人間ではなくて、キャンパスにいる猫さんたちです。セラピストからは「そうはいってもあなたは猫ではないし、猫にはなれないんですよ」としかれたのですが、やっぱり猫になりたい。研究という創造的な仕事は好き、そのままで猫になりたい。
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
次回は、専門家によるサポートについて書きたいと思います。