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"霊性アート"とは?

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"霊性アート"とは何か研究しています。 宗教美術?スピリチュアル系?近年、霊性をタイトルにする展示やアートも増えています。 ☆ヘッダー画像は、目に見えない光を、プリズムで分光して…
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記事一覧

アーティゾン美術館「ジャム・セッション」 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて は、目に見えないものが見えるようになるアート

「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて」展 「ジャム・セッション」とは、石橋財団コレクションとアーティストが共演するアーティゾン美術館の企画展のことです。 第5回目となる「毛利悠子ーピュシスについて」は、2024年11月2日から2025年2月9日までの開催です。 タイトルにある「ピュシス」とは何? 詳しい説明は美術館ホームページの説明に譲ります。 初期ギリシア哲学から続く考察対象として、生成、変化、消滅という運動が、磁力や電流、空気や埃、水

塩田千春 つながる私(アイ)、魂がふるえる からの昇華/物質世界と精神世界を行き来する霊性アート

個展サブタイトルのちがい 近年の国内開催の個展サブタイトルは次のようになります。 「つながる私(アイ)」は2024年大阪中之島美術館のもの。 2022年 別府では「巡る記憶」。 2019年 森美術館の個展では「魂がふるえる」でした。 私の感想 今回の展示は、再生と未来につながる希望を感じました。 2019年時は、癌再発の直後でもあり「たましいってどこ?」という生と死も暗示されたものを感じました。 2024年の展示では赤い糸の中に1,500枚以上のメッセージがつながり円環

霊性|小松美羽展  岡本太郎に挑むー霊性とマンダラ(2022)とジパング展(2024)

「小松美羽展 岡本太郎に挑むー霊性とマンダラ」 2022年に開催されました。 川崎市岡本太郎美術館 2022年6月25日〜8月28日 「ジパング 平成を駆け抜けた現代アーティストたち」展 2024年巡回開催中で、小松美羽作品も出展されています。 佐賀県立美術館 2024年8月24日〜10月20日 ひろしま美術館 2024年11月2日〜12月22日 1984年長野県生まれの小松美羽は、瞑想修行や霊性的な体験を通じて、自然と神々や神獣や人々の祈りなど「見えない何か」にインスピ

霊性|鈴木大拙展 Life=Zen=Art

※2022年7月12日から10月30日に、ワタリウム 美術館で開催された展覧会についての記事です。 「霊性」をテーマした展覧会…というより 鈴木大拙と禅を全面にした展覧会です。 大拙は仏教に関する著作が数多く、代表作として挙げられることが多いのが『禅と日本文化』『日本的霊性』です。 ※展示内容や構成について、既に大変多くの詳細なレポートがあるのでここでは割愛します。 「禅」を世界にひろめたとされる大拙がコロンビア大学で講義を行なった時に聴講したジョン・ケージや禅をモチ

霊性|顕神の夢 -幻視の表現者

「霊性」をテーマにした美術展。 2023年3月から翌年2月にかけて巡回開催された美術展です。 川崎市岡本太郎美術館→足利市立美術館→久留米市美術館→町立久万美術館→碧南市藤井達吉現代美術館へ巡りました。 なんだかすごい これは、会場での見学者の言葉です。 見せようとして描いているのでなく、何処か異世界からやって来たモノを感じたまま描いたような凄みがどの作品にも滲み出ています。 個人的に惹きつけられた作品 あの宮澤賢治が描いた水彩画。複製画ですがとても不思議な「心象風

那智瀧図

那智瀧を御神体と見做し、周辺の自然景や飛瀑をありのままに描き、巨木や奇石、滝など自然そのものを神聖視しています。《那智瀧図》は「日本的霊性」をあらわす"霊性アート"ではないかと考えます。 那智瀧図に感動したアンドレ・マルロー アンドレ・マルローは、根津美術館で見て衝撃を受け、その後、那智で実際の瀧を目の前に絶句したという。 杉本博司はマルローが《那智瀧図》を述懐する言葉を紹介しています。 杉本博司《那智滝図》 1977年に華厳滝を撮影した前後、那智の滝も撮影したが満