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那智瀧図

那智瀧を御神体と見做し、周辺の自然景や飛瀑をありのままに描き、巨木や奇石、滝など自然そのものを神聖視しています。《那智瀧図》は「日本的霊性」をあらわす"霊性アート"ではないかと考えます。

国宝《那智瀧図》
鎌倉時代(13世紀末頃)
根津美術館蔵

那智瀧図に感動したアンドレ・マルロー

アンドレ・マルローは、根津美術館で見て衝撃を受け、その後、那智で実際の瀧を目の前に絶句したという。

「滝はここではまさしく神だ。自然の超自然として、つまり自然の精神化としても神なのだ」

引用:人文書院『マルローとの対話』竹本忠雄

杉本博司はマルローが《那智瀧図》を述懐する言葉を紹介しています。

「この掛軸は絵ではない(中略)ひとつの記号だ」。
「この垂直の水は、二百メートルの高さから落ちているのに不動だ」。
「静寂から生まれた風景」。
「空へ向かってそそり立つ白い剣」。
「(那智の滝の精神は)つねに、下にいる人間と上にある空との対話だ」。
その感動を表現するのにいくら言葉をつくしても足りないようだ。

引用:新潮社『苔のむすまで』杉本博司
杉本博司の初めての評論集
2005年発行


杉本博司《那智滝図》

1977年に華厳滝を撮影した前後、那智の滝も撮影したが満足出来なかったといいます。
2010年を過ぎて、気持ちが満ち再挑戦、ようやく2020年に軸装された作品は『本歌取り』で巡回展示されました。

杉本博司《那智滝図》
2012年撮影 2020年軸装


杉本博司《華厳滝図》

アメリカに住み「日本的霊性」を自問していた頃、1977年の一時帰国の際に日本各地の滝をまわり、日光では霧雨の中で一瞬垣間見た華厳滝を撮影したという。

杉本博司《華厳滝図》
1977年撮影 2005年軸装


恐れながらリスペクト撮影してみました

杉本作品のクオリティにはとてもとても
似ても似つかない華厳の滝
(2011年夏、震災後観光客もまばらな中で撮影)

"霊性アート"とそうではないものとの比較です。

"霊性アート"とは?
どのような作品か?
先行研究者は?
宗教美術との違いは?
そもそも霊性ってなんだろう?
怪しさとの境界!?
今後これらをまとめていきます。

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