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ある
2019年5月8日 12:43
恋に汚れず、高級な性の探求に遣える男、彼は、『人間』をひどく嫌っていて、本能的な性欲を愛する。性を忘れ、恋の探求に惑わされた女、彼女は、本能的な「雄(オス)」に飽き、人間に許された愛を求める。二人の交わす言葉は、根底こそ違えど、互いを引き寄せ合う。惹かれ合った偏屈者共が、合間見える瞬間、初恋を想わせる、初心な緊張が迸る。黒尽くめの彼は、多少横柄ながら、小心者の雰囲気だ。
2019年5月11日 10:24
それは、禁煙中のタバコのように、それは、ネット中毒者が持つスマホのように、それは、心が弱った時に聴くロックのように、僕の片足を拘束している。あの人の、抱きかかえた猫のように柔らかい肌と、春の日差しに晒された砂ほどの体温に、もう一度、もう一度だけ、包まれたいと願う。それが叶わないので僕は、不思議な色をした、明らかに毒々しい綿(わた)の思い出に、身を任せてしまうのだ。