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『(新)小5の凄腕バイヤー「モント」』

2022年11月4日のリライトです。
良かったら読んでください。

私は大阪生まれの大阪育ち。
大阪の街が好きなんです。
温かいし、人の距離感も好きでした。
グイグイくる感じ。

大人と八百屋さんとのやり取りも
面白かった。


『ちょっとそこのお姉さん』


めっちゃお年寄りやん!
という人に声かけてます。



お金を支払う時に
『これもつけとくわ!』
と何か別の野菜もつけてくれる。
ウドン3タマ買いに行き
さらに1タマつけてもらったこともある。


お釣りを返す時には

『はい、300マンエンの
 お返し〜』


と300円返してくる。


オバちゃんの言葉も面白いし
お客さん同士が喋るのも楽しい。
昔からの知り合いのように隣の人と話す。



そんな土壌だからか
子どもも早くから商売人とのやり取りを
覚えて値切るようになる。



私の友達の
アダ名が『モント』の話をしますね。
小3から同じクラスになった友達。
転校生でした。
愛くるしい笑顔と物おじしない態度と
声のデカさはピカイチの男。
ドッチボールで円盤投げの要領で投げて
一大ブームを巻き起こしたこともある。



小5の頃、流行っていた川釣りに
モントと一緒によく行った。



だんだん釣り道具にもこだわりが出る。
隣町に大きな釣具屋さんがあり
モントと自転車で足を運んでいた。
リールや竿にこだわりだしたのが
この時期あたりだ。



モントは野生の勘で
店で1番お偉いさんを素早く見つけて近寄る。
子どもらしい可愛い笑顔で

『なぁなぁオッチャン。
竿ほしいねんけど、
高くて買われへんねん。
ちょっとまけて〜や』

とねだる。



店長とおぼしき人は

「わかった。わかった。
どれがほしいねん?」

と聞く。


『これ』と五千円の竿を指差す。

「あーこれか。
よし、千円まけたろ」

と店長は言う。


モントはすかさず

『ムリムリ、三千円しかないねん。
半分の二千五百円にして〜や。
僕お金ないねん』

と笑顔で言う。

『三千円にして〜や!』
ではなく、
『二千五百円にして〜や』
というのがミソだ。
恐ろしい小5がいたものだ。


この後、少しのやり取りがあり
結局、店長は

「君には負けるわ〜。
わかった。ほな、二千五百円な。半額にされたがな〜」


と笑いながらまけてくれた。
レジの女性店員には口添えしてくれた。



五千円の竿を半額にするモント。
頼もしい〜



帰り道にモントは

『ホンマは五千円あるねん。二千五百円余ったから、これでタコ焼きおごったるわ』


と愛くるしい笑顔を向けてくる。

小5ながら、
まるで
凄腕バイヤーの貫禄だ。
小学生という武器を存分に
使いたおす。
自分の価値をわかっている。
大阪らしい子どもでした。



私はモントに弟子入りし
釣具屋さん、小売店等で値切り倒した。



当時のジャスコ(現イオン)のカメラ屋さんで
値切った際には、店長に

『ここで値切られたん
 初めてや!』


と言われたものだ。



商売人は繋がりを大事にする。
会話のやり取りを楽しむ傾向がある。
そこを、くすぐりながら
話を進めると良いとわかった。
あまり嫌がられたことは無かったかな。
引くときはすぐに引く。



私は弟子として
すくすく成長していきました。
モントのおかげで
お金のやり取りの実践を重ねる
ことができたのは幸いでした。



30年以上、モントには会っていない。
今もあの愛くるしい笑顔で
商売をしているのだろうか?



同窓会で会える日が早く来てほしい。
きっと、noteに書くネタ満載の会話が
聞けるはず。
その時はまた皆さんに報告しますね!



最後まで読んでいただきありがとうございます。


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