ドラマ日記『光る君へ』（最終回）
平安時代、京に生まれたまひろ→紫式部（吉高由里子さん）。数歳年上の藤原道長（柄本佑さん）とは、少女の頃に知り合い、惹かれ合うも、身分差に阻まれ。別の男性と結婚するも死別。娘を育てながら、「源氏物語」を書き始める大河ドラマ『光る君へ』の最終回「物語の先に」。
まひろは倫子（黒木華さん）から道長との関係を問いただされ、２人のこれまでを打ち明ける。全てを知った倫子は驚きと共に、ある願いをまひろに託す。
まひろの母・ちやは（国仲涼子さん）が、道長の兄・道兼（玉置玲央さん）に殺されたところまで遡って、二人の関係を話すんだろうなと予測していましたが、やはり。訊いた方の倫子もそれは絶句しますよね。
嫌味事は言ったものの、最後まで取り乱すことはなかった倫子。「隠し事はもうないかしら？」の問いに、彰子（見上愛さん）に仕える娘・賢子（南沙良さん）の立場を考え、そこはサラッと嘘をつくまひろ（笑）。
道長の病状が危うくなると、倫子はまひろを呼び出し、「どうか、殿の魂をつなぎとめておくれ」と依頼。二人だけの時を過ごさせる配慮は、女としてはまひろに完敗したことを認めつつ、道長への愛と正妻としてのプライドも感じさせるものでした。
新たな物語を創って聴かせることで、道長の命を長らえさせていたまひろでしたが、それも永遠とはいかず。ついに亡くなってしまいました。同じ日、道長の後を追うように死去した行成（渡辺大知さん）。これも史実ですからね。
「紫式部集」を賢子に残し、恐らく妻・きぬ（蔵下穂波さん）に先立たれた従者の乙丸（矢部太郎さん）と旅に出ることにしたまひろ。道中、東国の戦に向かう双寿丸（伊藤健太郎さん）と再会。
まひろの最後のセリフ「道長様、嵐が来るわ」は、「戦のない太平の世」を守り続けた道長が亡くなり、戦乱と武士の時代がやってくる予感を感じさせるものでした。
サブタイトル「物語の先に」は、「源氏物語」や「紫式部集」といった己の創作物を置いてきたまひろの未来を想像させる余韻や余白を感じさせるものですし、道長とまひろの物語であった『光る君へ』が終わった後という意味でもあるのでしょう。
脚本家・大石静さんが切り開いた「平安時代ど真ん中」の大河ドラマの成功は、今後の大河の可能性を広げましたし、大石さん自体が3回目の大河登板に意欲を示していますので、再びその作品を見ることができるかも知れません。