ドラマ日記『不適切にもほどがある!』(最終回)
中学の体育教師で、野球部顧問の小川市郎(阿部サダヲさん)が、1986年から2024年の現代へタイムスリップ。昭和のダメおやじの「不適切」発言が、令和の停滞した空気をかき回す意識低い系タイムスリップコメディ『不適切にもほどがある!(#ふてほど)』の最終回「アップデートしなきゃダメですか?」。
タイムマシンバスが運行できるのも残り1往復。遂に昭和に戻る決心をした市郎は、令和での身辺整理を着々と進めていた。最後のタイムスリップは落ち込んでいる渚(仲里依紗さん)のために使おうと決めた市郎は、秋津(磯村勇斗さん)やゆずる(古田新太さん)、井上(三宅弘城さん)らに別れを告げ、渚と共にバスに乗り込み昭和へ向かうのだった。
タイムマシーンバスは自動運転で、運転席には人形が乗せられているはずが、その人形が車外へ。実は首都工業大学の学生が、バスに密かに乗り込んでいて。主題歌「二度寝」を歌うCreepy NutsのDJ松永さんとR-指定さんが、学生役でサプライズ出演。後半の教室パフォーマンスも最高でした。
名シーン、名言も多数あった最終回。一番の感動シーンは渚と純子(河合優実さん)が喫茶店で語らうシーン。ハラスメントの件へのアドバイス、「渚」呼び、「ついてる、ケチャップ」からの「渚のはいから人形」の流れが、完璧に泣かせにかかってましたね。純子はやはり知っている!?
令和行きへのバスに乗車し、純子に「おっぱい見せてくれてありがとう!」と爆弾発言をしたキヨシ(坂元愛登さん)ですが、佐高(榎本司さん)への「学校なんてさ、自分と気の合わない奴が、この世の中には存在するってことを勉強する場所だけどさ。その中で1人か2人友達が見つかれば、他は死ぬまで会わなくていい奴らだから」と名言。二人の関係が大きな伏線に。
一方、令和の価値観を身に着けた市郎は、昭和の世界へ違和感ありあり。同じく昭和を経験し、令和の風潮に疑問を持ったサカエ(吉田羊さん)と愚痴を言い合ったところからの「寛容」ミュージカル。そして、卒業式のシーンで、市郎の最後の名言。
「みんな卒業おめでとう。 こんな時代に生まれて、お前ら可哀想だな。どこ行っても煙草臭い、連帯責任だって引っ叩かれて、やっと卒業だ。でも、安心しろ。お前らの未来は面白れぇから!」
「俺みたいな不適切な暴力教師はいなくなるし、ツルっとしたのでウーバー呼んだら、家でビッグマック食える。そんな時代でも、大人は子供にこんな時代に生まれて可哀想だなって言うんだよ、そんな大人の話は、聞かなくて結構!」
ラスト。IT社長になっていた佐高(成田昭次さん)の援助で、タイムマシーン研究を継続していた井上が、2054年からやってきます。例の喫茶店の穴は、彼が発明したタイムトンネルだと判明。当初は穴に入るのを躊躇した市郎でしたが、吸い込まれるように入っていったところで終わりました。
最後のテロップには「この作品は不適切な台詞が多く含まれますが、時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性を鑑み、2024年当時の表現をあえて使用して放送しました」の文字。
2054年の視点からの表記に読めますし、2024年現在の価値観もいずれ古いものとみなされるかも知れず、絶対的なものとして声高に叫ぶ者への皮肉ともとれます。いずれにしろ、市郎と純子の行く末は明言されず、視聴者の想像に委ねられました。希望と続編が期待したくなるエンディングでした。
余談:反町版『GTO』(1998年)当時は、仕事の関係もあってかあまり見ていなかったので、『GTOリバイバル』もスルーしようかと思いましたが、ついつい見てしまいました。
同窓会ドラマという枠組みもあって、ストーリーとしてはありがちでしたが、23年ぶりの民放ドラマ出演の窪塚洋介さんは、一見の価値がありました。また、朝ドラ『舞いあがれ!』の秋月さんを演じた八木莉可子さんが、相変わらずいいですね。