短歌同人誌「淵」の240号が届きました。 #今日の短歌
短歌同人誌「淵」の240号が届きました。
今回も、たくさんの短歌の中から、載せる短歌を選ぶのは大変ですから、
「私の好きな一首選」を載せたいと思います。
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私の好きな一首選 佐々木誠吾 選
〇 鶏頭の朱冴え冴えと子規の庭主の無くとも百年余咲く
渋谷富子
〇 高台の風通しよきギャラリーに画家を訪ねて個展楽しむ
大野雅子
〇 子規庵のへちまの花は鮮やかに空に向かいて黄の色の映ゆ
大宮ふじ江
〇 シンボルの東京駅の銀の鈴むかし懐かし青春いっぱい
角田章予
〇 若き日を恋いてアルバム開きゆく秋の日差しの静かなる部屋
大下容子
〇 襟を立て胸元キュッと押さえつつ新品ヒールの足取り軽し
大木静花
〇 現実に戻ればパートに向き合いぬ女優であったうたかたの劇
丹波ともこ
〇 荒波は絶えず浜辺に打ち寄するあの日の海は人をさらひし
伊達美智子
〇 幸せを密かに支えくれし母逝きて鎮まる鉢植えの欄
澤田毬子
〇 いかるがの里の屋敷の土壁に蔦のもみじと染まる頃かな
佐々木誠吾
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私の好きな一首選 大野雅子 選
〇 温かき冬の日差しにひかる実の柿をもぎりて旨き此の年
佐々木誠吾
〇 鶏頭の朱冴え冴えと子規の庭主の無くとも百年余咲く
渋谷富子
〇 前庭の花を眺むる文机に片脚立てる子規の面影
大宮ふじ江
〇 コスモスの咲き乱れいる畦道のゆっくり進む可憐過ぎれば
角田章予
〇 やわらかき陽差し黄葉づる木々の中心かよいて会話のぬくし
大下容子
〇 襟を立て胸元キュッと押さえつつ新品ヒールの足取り軽し
大木静花
〇 向日葵は眩しすぎると避けていたその一途さがいとしくなりぬ
丹波ともこ
〇 生ひ茂る空き地に野生の鹿の見ゆ復興途上の町に合掌
伊達美智子
〇 幸せを密かに支えくれし母逝きて鎮まる鉢植えの欄
澤田毬子
〇 語り合う時与えられ友人と心ぬくみぬ日だまりのごと
大野雅子
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※ 今回もお読みいただきありがとうございました。