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「白い花」(詩)

白い花が咲きますね

どうしようと 勝手だと
頬を 大粒の透明が踏み荒らしていく
君の唇が きつく結ばれ
どこまでも 甘い赤が ふるえていた

あの野に立つと
言葉が くもってしまう
足りないものが 確かに見え
私の内側に揺れる卵に あなたはいない
開かない窓を 抱えて 笑っている

風もどうしようもなく
私の首のまわりに回る

白い色に 打ちのめされて
あずけていた手が
ほとり、と
土の色を 示します
倒された 瑞々しい緑のために
花は 艶を増し
透き通るごとく 白くなっていたのです

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