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「ちいさな爪」(詩)

可愛い子供の爪をひろう
細い細い月の形
白はくもってやわらかい
降ってくる満足の月光りを
うすく、すかした白雲のよう
こっそりと食べたなら
私の中に子供の影があらわれて
若い原っぱを駆けるかしら
あどけない声をあたりへ
ふりまきながら
太陽の中心のように
熱へ変じる寸前の荒々しさで
生きて 消える
手の中の幼い爪は
つめたく硬い

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