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「鱗」(詩)

逆撫でられた鱗が 剝がれていく
落ちていく鱗は 風を打つ
光を 弾き 痛みを裂いて叫ぶ
元通りには 帰れない
同じ在り方は叶わない
それは絶望するには至らないからこそ
その叫びは鋭く 細く 後ろへと引き延ばされる

割れた季節の片側に
そして鱗は残される

続かなかったあらゆるものを 手繰り寄せて
叫びは いつか鱗を離れ 空気を渡って 今へ辿りつき
光だけがいつまでも 鱗のまわりにまとわりついては
朽ちていく過程を求める
終わりの門をくぐり 闇の胸内へ溶けるまで
鱗は ゆっくり 名を失うさままでを
おいしそうに 舌に乗せようとしている

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