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2019年8月の記事一覧

母が亡くなるちょっと前、ぼくは留年をして、民間療法を憎み。そして亡くなったあと生姜焼きを食べて泣いた

母が亡くなるちょっと前、ぼくは留年をして、民間療法を憎み。そして亡くなったあと生姜焼きを食べて泣いた

私が大学4年生の8月に母が亡くなった。悪性リンパ腫だった。家族の数だけ死別があるので、別に珍しいことではない。ただ少し早かっただけで。

母の死を想って泣くことは今はない。「時間ぐすり」とはよく言ったものだ。

しかし母の死の悲しみと一緒に、記憶もまた失われていくのは寂しいものだ。なのでいくつか当時の思い出を書き残したいと思う。

幸い8月は、母のことを思い出すのにいちばんよい季節だ。

1)8月

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しんどいから、ごはんが美味しくなるんです。

しんどいから、ごはんが美味しくなるんです。

わたしは声優を目指して日々稽古に励んでいるけれど、時折ふと思うことがある。

それは、「楽しいんだかしんどいんだかわからない」ということ。

先日、二泊三日の合宿をしてきたのだが、普通にしんどかった。

バスで7時間かけて辺境地に赴き、見ず知らずの40人超の人たちとひとつ屋根の下で共同生活を送りつつ、肉体を酷使するワークをやり、ダメ出しをされて落ち込み、筋肉痛とアザでボロボロになった身体を布団にう

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店のメニューにはない「タラコスパゲティ」を注文できる人になるまでの話。

店のメニューにはない「タラコスパゲティ」を注文できる人になるまでの話。

有名な料理にはそれなりに、客にまつわるエピソードがあるものだ。

ポテトチップスは「ジャガイモをできるだけ薄く揚げろ!できるだけだ!」と言った客に、店が意地になってフォークでさせないほどの薄さで揚げて出したら逆に喜ばれてしまってできた、とか。

ラーメンの麺が残っていたので、店員がまかないとして、濃い汁でモリソバのように食べてたら、客が「それうまそうだ、俺にもくれ!」と言われ「つけ麺」が誕生した、

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