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地元愛溢れる熱い祭り!土崎港曳山まつり

こんにちは!
秋田市地域おこし協力隊の平石です。
兵庫県出身で大学進学を機に秋田に来て7年住んでいたのですが、土崎港曳山まつりに一度も行ったことがありませんでした。
秋田市の協力隊になったので平日でも行ける!と今年やっと見ることができました。

土崎港曳山まつりは、正式名称を「土崎神明社祭の曳山行事」と言い、秋田市土崎にある土崎神明社の例祭であり、国の重要無形民俗文化財に指定されている歴史あるお祭りです。
土崎港曳山まつりは毎年7月20日、21日と開催日が固定されています。
2日目の夜がパワフルで盛り上がるということを聞いていたので私は21日に伺いました。

夕方17時ころに土崎駅に到着。天気がよくものすごく暑い日でした。
青空に堂々と勇ましい曳山が映える、とてもきれいな写真が撮れました!

黄色い大蛇と赤いガマガエルが鮮やかです。

大きな虎と斧を大きく振りかざす武者人形の迫力ある姿。
ギィーギィーとものすごい音をたてながら、曳山が引っ張られて動きます。
曳山の車輪は木でできており動くたびに摩擦で音がしますが、その車輪のすべりを良くするために油を差し、長い木の棒を持って車輪をコントロールしています。

はじめて見た曳山まつりの様子はとても新鮮で、あれはなんだこれはなんだと興味がわいてきました。
今回、以前からとてもお世話になっているKさんにお祭りを案内していただきました。

曳山の後ろ側はお囃子の方が乗っているのと、上の方にはスーツを着たおじさん….!?
歴史の一場面を表す武者人形とは時代もずいぶんと違います。
これはその年の世相を風刺した「見返し」というもので、町内ごとにオリジナルの見返しがあり、優秀作品が選ばれるそうです。

Kさんのお宅に土崎港曳山まつりのパンフレットがあったので見させていただきましたが、とてもユニークでおもしろかったです!
見返しコンクールの結果は秋田市役所のウェブサイトにもありますのでぜひご覧ください。
https://www.city.akita.lg.jp/kurashi/kyodo-chiiki/1005328/1004620/1009756/1021364.html

多くの家では、町紋が描かれた提灯を玄関先に掲げています。
日が暮れて明かりが灯されると、昼間とはうって変わって情緒あふれる雰囲気でした。
夜には、Kさんのお知り合いのMさんのお宅にお邪魔しました。

いきなりお邪魔したにも関わらず夕ご飯をごちそうしてくださいました!
この写真の右下のお料理が「かすべ」といってエイの煮つけです。
土崎港曳山まつりでは「かすべの煮つけ」「なすがっこ(なすの漬物)」「枝豆」の3つが定番で用意されるそうです。
かすべは干しかすべを2晩ほど水につけてふやかしますが、夏場は水を替えて管理する必要があり、とても手間暇かけて作られています。
Mさんお手製のかすべの煮つけはとってもおいしかったです!
煮干しのような濃厚さと骨までホロホロに柔らかく煮られているので食べやすい上に、栄養満点です。
お家ごとに味が違うそうなので、いろんなかすべの煮つけを食べてみたくなりました。

22時ころになると各町内に曳山が戻ってきます。
そもそもこのお祭り、2日とも朝から夜中まで続くめちゃくちゃハードな祭りなのです!
実際に来るまで知らなかったので驚きました。

夜になるとまた雰囲気が出て美しいです。
そして昼とはまた雰囲気や熱気が違って盛り上がっている!
「ジョヤサ!ジョヤサ!」という掛け声とともに勢いよくスピードを出して引っ張ったり、
曳山の綱を持つ人達がまるでヘビのようにうねうねと動いたり、
交差点で勢いをつけて回転するところは一番興奮しました!

曳山を止めてお囃子と生歌!と踊りの披露がありました。
秋田音頭を音源ではなく生歌で聞けるのが素敵です。
歌に合わせて踊るのですが、花笠を持った踊りと、出刃包丁と傘を持った踊りがありました。

もちろん出刃包丁は作り物ですが、傘と戦ったり防御したりと興味深い振り付けでした。

最後は町内に戻ってきてからひと踊りして締めるのですが
私が見た町内は時刻23時半!想像以上に夜遅くまでお祭りが続きます。
お祭りの大通りから遠い町内はもっと遅くまでかかるそうです。

……とお祭りを見るだけでなく、KさんやMさんから色々と教えていただいたり、料理をご馳走になったりするなど、土崎の文化に触れたとても充実したお祭り鑑賞でした!

後日、さらに知識を深めたいなと思い
「秋田市土崎みなと歴史伝承館」でスタッフの石井さんにお話しを色々伺いました。

秋田市土崎みなと歴史伝承館ウェブサイト↓
https://tuchizaki.com/


お祭りで実際に見た曳山の2倍以上の高さもある11.5mの復元曳山が!
明治時代には20mを超えるものもあったそうで非常に大きかったのですが、1901年に電線がひかれるようになってから低くなったそうです。
現代の曳山まつりにも山車の上に「電線マン」と呼ばれる人が乗っており、グラウンド整備の「トンボ」に似た形のものを使って曳山の造形物に電線や木の枝がひっかからないようにしています。
曳山は神様に近づくために高くされたというのと、町内同士の競争でもあったそうです。
派手に飾り付けをして、神様に「ここにいますよ!」と伝えているのです。

曳山の武者人形にはルールがあり、歴史上のシーンを描くことと、勝者と敗者がいることです。
写真の左側の水色のはちまきをしているのが勝者、右手前の黄色のはちまきをしているのが敗者です。
この武者人形は上半身裸の「はだか人形」。
人気が高いそうで、石井さん曰く「筋肉隆々のマッチョが強さの象徴だから」だそうです!
たしかに着衣より強そうな感じがしますね。

8月末まででしたが、エイの乾燥標本の展示もありました。
「魚のカス」から「かすべ」という酷い由来ですが(笑)
ガンギエイという種類なんですね。

かすべの煮つけのレシピも配布していました!
①干しかすべを2晩ほど水につける。
②身に切れ目を入れて15分ほど水煮する。
③泡が出てきたら火をとめて20分ほど休めてからお湯を捨てる。
④かすべ、水、砂糖、酒を2時間ほど中火で煮る。
⑤醤油を加えて煮詰め、仕上げに砂糖と醤油を加えてとろ火で煮て完成。

各家庭で作り方も味付けも異なるので一例です!

町内の紋入り提灯が展示されています。
すべての町内が1つずつ曳山を出しているわけではなく、出さない年もあります。
というのも祭りにはお金がかかるのですが、土崎港曳山まつりには企業スポンサーはついていません。
すべて町の人たちの支援金や参加で成り立っているのです。
少子化と人口減少が著しいため、祭りの存続もこれからの課題です。
とはいえ土崎の曳山まつりのために帰ってくる方や祭りに参加する若者はたくさんいて、地元愛が感じられてとてもあたたかいお祭りでした!

いかがでしたでしょうか?
実際に見て、伝承館にも伺いましたが、まだまだ掘れば掘るほどいろんな歴史や文化が分かるとても奥深い「土崎港曳山まつり」。
地元の方々はこんな素敵な祭りがあってとても羨ましいと思いました。
きっと行くたびに新しい発見があるので来年も見に行きたいです!

まだ見たことがない方は、ぜひお祭りを実際に見に行ってみてください。
知識がなくても想像以上に楽しめると思いますし、あぁ夏だなぁと季節も感じられます。
毎年変わらず7月20日と21日です。
伝承館の展示もスタッフにお話しを聞くことにより知識が一層深まるのでおもしろいですよ!

【著:秋田市地域おこし協力隊 平石かなた】