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面白いのにオススメできない|読書感想「そして誰もゆとらなくなった」朝井リョウ

おすすめは、難しい。

「2024年オススメ本、TOP3」の記事を読みながら、ぼんやり考える。

どんなに好きでも、人にオススメしにくい本は多い。

グロテスクだったり、相手が楽しめないかもしれないという懸念がある本はできれば避けたいし、

「この作品を好きだと言うと相手に悪い印象を与えるかもしれない」というリスクヘッジのために、避ける本もある。

そう思った時、1冊の本が浮かんだ。

おもしろいけれど、1度も、誰にも紹介していない本。

こういう本こそ、ここに書くべきでは。
そうだ。そうだ。ここなら構わないだろう。

今、そんな自由な気持ちで書いている。

もともと、周囲を気にして語れない作品を語りたいと、最初の記事でも書いたのに、こっちの方向は気がついていなかった。

なにが来ても気にしないよ!という方のみ、よかったら、お付き合いください。

「そして誰もゆとらなくなった」
著 朝井リョウ

『時をかけるゆとり』『風と共にゆとりぬ』に続く第三弾にして完結編。
怒涛の500枚書き下ろし!頭空っぽで楽しめる本の決定版!

Amazon商品紹介より

※この先はネタバレを含みます。



この本はオススメするのを避ける本、筆頭だ。

サラリと読めて、面白いエッセイだけれど
「これ面白いよ!」と大々的に掲げにくい。

理由は1つ。


「下の話が多い」

これに尽きる。


筆者がとてもお腹の弱い体質であることと、痔を患っているために、下半身及びトイレ周りの話題が非常に多い。

友人と旅行に行っても、自分のトイレ事情に振り回されることになるので、先に旅費を多めに支払っておく「トイレ税」を導入する。

大事な人の送別会場を突然飛び出し、トイレを探すタイムレースが始まる。

お腹が治るならと、催眠術セミナーに参加したのに、全くかからない。


巧みな文章で詳細に描かれたりしているため、本当にオススメしにくい。

そして、その他のテーマでも

筆者自身が「この先はいろいろなことを気にしない読者の方だけついてきてほしい」と度々、前置きしている。

ご本人お墨付きの「万人にはおすすめできない本」なのだ。

目次からいくつかタイトルをご紹介すると、

・肛門科医とのその後
・作家による本気の余興〜人体交換マジック編〜
・他力本願スマートハウス
・踊ることに踊らされて
・ホールケーキの乱
・脱・脂質異常症への道
・精神的スタンプラリーin北米

などなど、全部で20編。

ほっこりする日常とは違う、人を選ぶエッセイ集。
あまり深く考えず、笑いたい時に「オススメ」します。

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